先日公開した、図解!「IoTによる工場の可視化で、把握すべき5つのこと」で、5つのポイントを挙げた。
- 稼働状況の把握
- 故障状況の把握
- 製造状況の把握
- 人や搬送機器の動きの把握
- 作業者の作業動態の把握
では、実際にそれぞれの要素について、何を取得すれば、何がわかるというのだろう?
本稿では、「故障状況の把握」に関して、具体的なスマートファクトリーの現場で実際に取得されているデータの要素と、そこから導き出される改善要素について解説する。
故障状態の把握でわかること
画像では、工作機械を例にとって、機械から取得可能なデータ要素と、それからわかることを挙げている。
スマートファクトリーというと、工場のライン全体を可視化して生産改善をするイメージがある方もいるかもしれないが、前回の稼働状況の把握でも書いた通り、最小単位は1つの産業機械だ。
そこで、産業機械の動きを見ることでわかることが何なのか、を開設していく。
稼働履歴は、いつ、なにを、加工していたかがわかる
産業機械の、「稼働状態」「信号状態」「運転モード」のデータを見ていくと、その機械がいつ、なにを、加工していたかがわかる。
例えば、停止状態になっているという場合、運転モードはなにであったのか、その時、設備がどういう稼働状態であったのか、などを分析することで、停止の原因を細かく究明することができるので、その原因を取り除くことで生産性を改善することができるのだ。
加工時の電流や負荷の状態から加工の作業自体に無理がない方がわかる
また、位置や速度を制御する「サーボモーター」や、回転する軸となる「スピンドル」の状態を把握することで、加工自体に無理がないか、加工機械として正しい動作ができているかがわかる。
一般的にスピンドルをモーターで回転して加工するような機械の場合、だんだん高熱になってきたり、軸がずれてきて回転が真円を描かなくなってくると故障が起きることが多い。
そこで、こういった部品の状態をセンシングすることで、通常の状態からずれだしているということを認識して予知保全に役立てることができるのだ。
故障状態の把握による生産性改善
単体の産業機械の状態監視における究極の目標は、「止まらない」ということだ。そうはいっても、一定のメンテナンスタイムなどは必須となるのだが、このメンテナンスのタイミングを通常の操業時にとりたい人はいない。
つまり、工場全体が休んでいる時に、計画的にメンテナンスを行いたいのだ。
そう考えると、通常は壊れる前にメンテナンスを行う「事前保守」を行うこととなるのだが、それではメンテナンスのタイミングとしては良くても、故障もしていないのに部品を変えることとなる。そこで、今回の例では、スピンドルやサーボモーターの状態を監視しつつ、機械の稼働状態をモニタリングすることで、故障しそうなタイミングを見切る「予知保全」を行うことで、機械の操業中の停止を防ぎ、工場全体としての生産性を向上させるのだ。
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