シーメンスは、組織の簡素化、スリム化を図り、成長のスピードを加速、収益性を高めることで、長期的な価値を創出するための戦略であるVision2020+を発表した。
この戦略は、シーメンスの個々の事業に独立性を持たせ、市場によりフォーカスすることが目的。さらに新たな成長分野であるIoT統合サービス、分散型エネルギー管理、電動モビリティ向けのインフラソリューション等へ投資することによる、成長ポートフォリオの強化を目指す。
同社は、産業デジタライゼーション分野の拡大により、今後中期的に、シーメンスの産業関連ビジネスにおける年間売上の成長率と利益率が2%増加し、基本1株当たり利益が売上より早く向上することが見込まれるとした。
2014年に発表したVision2020戦略については、同社は、計画より早くかつ成功裏に概ね完了したとしている。シーメンスAGの社長兼CEOのジョー・ケーザー氏は次のように述べている。
「過去4年間力を尽くした結果、ほぼすべての事業が利益を大幅に向上し、顧客満足度はかつてない程に高まり、デジタルファクトリー事業は、産業のデジタル化における市場リーダーとなっています」
新たな企業体系では、シーメンスの各事業の独立性を高める。現行の事業本部(Division)階層は無くし、顧客志向をさらに強化するために各地域の組織を再編し、本社は簡素化する。
グループ傘下に、3つの事業会社と3つの戦略会社を配置。この再編成は、顧客へのフォーカスの強化、各産業の要件に適応した活動を実現するとして、ジョー・ケーザー氏は、「もはや、プロジェクトビジネス、製品、ソフトウェア、サービス会社を、様々に異なる要件も全て効率的に集中管理できた時代ではありません」と説明している。
新体制は、新たな会計年度が始まる2018年10月1日より実施。導入は段階的に進め、2019年3月31日に完了する予定だ。
ビルテクノロジー事業(BT)、エナジーマネジメント事業(EM)、パワー&ガス事業(PG)、デジタルファクトリー事業(DF)とプロセス&ドライブ事業(PD)の大部分は統合し、3つの新たな事業会社となる。ビジネスユニットを新たに設立し、より焦点を絞った形で3つの事業会社に統合する。
また、Mendix社の買収により、IoT統合ソリューションサービス事業に参入することで、産業のデジタル化における市場リーダーの地位を拡大するとした。
Mendix社は、低コードアプリケーション開発プラットフォームを手がける企業。シーメンスは、Mendix社の技術により、アプリケーションのプログラムと展開のスピードを最大で10倍迅速化することができるとした。
それにより、MindSphereの顧客は、独自のアプリケーションをより早く、低コストで開発することができるという。買収価格は6億ユーロ。当局の承認後、2019年度の第1四半期に買収が完了する予定だ。
さらには、IoT統合サービスのビジネスユニットを新たに編成し、IoTプラットフォームを拡大。幅広い産業における経験と、人工知能やサイバーセキュリティ等の先進技術を活用し、シーメンスは、コンサルティング、設計、プロトタイピング、導入サービスを提供するとした。
シーメンスは、2025年まで、IoT統合サービス市場は年率10~15%の伸びが予想されているとして、この分野において2025年までに10,000人を雇用する予定だ。
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