先日、ドイツのハノーバーで開催されていたハノーバーメッセ。国内でも進むスマートファクトリーといえば「可視化」である。
本当に可視化だけしていればよいのか、可視化はできたが先がわからないという声が聞こえる中、「可視化の先」を検討し、実現していた展示を紹介する。
そのパート1として、株式会社THK 産業機器統括本部 グローバルマーケティング統括部 統括部長 坂本卓哉氏にお話を伺った。
THKの予知保全サービス「OMNI edge」
THKは、「LMガイド」という商品を主力としている企業だ。
これは、工作機械や半導体製造装置、一般産業機械という分野において、高剛性で精度よく動かさなければいけない部分に採用されているものだ。
例えば、製造業の自動化が叫ばれている中、装置と装置の間を産業用ロボットが動く、製造装置の中でロボットアームが動く、というシーンがあるが、そういったシーンでロボットが正確かつ高速に移動するためには、こういった「ガイド」の上を走る必要がある。
しかも、このガイドが壊れてしまっては製造が止まってしまうため、耐久性も高いことが重要になるのだ。
LMガイドは、装置の重要な部分に使われていることが多く、3日も止まると多大な損失が生じるという。また、特注品が多いこともあり、在庫を多めに持つエンドユーザ企業も多い。
そこで、LMガイドが予兆保全できることで、障害を見越した不要な在庫も最小化できるし、障害による停止も極小化できるということが必要となる。
予知保全の仕組み
仕組みとしては、まず、LMガイドに、「LMガイドセンサー」、ボールねじ部分に「ボールねじセンサー」を搭載する。異常があったときにはこのセンサーが反応する。そして、実際のセンサーの出している数値を見るといつもと違う状態が可視化されるのだという。さらに、この情報はオフィスのPCや、スマートフォンに通知されるのだ。
故障状況を見て、交換が必要な場合は、このサービスがECサイトにも接続しているため、すぐに注文することもできる。
また、この数値はシスコやドコモの通信設備を通してクラウドにアップロードされる。そこに予知保全システムが待ち構えていて、障害が起きそうなタイミングを見つけてくれ、この情報を通知することで、メンテナンスタイミングを予定したり、装置の在庫を慌てず購入しておくことができるようになるのだ。
このビジネスは、「2019年の秋頃からこのサービス開始を目指しており、これまでの売り切りのビジネスに加え、この新たなサービスを提供していく」ということだ。
さらに、坂本氏は、「製造装置の中には、ほかの企業の部品も入っているので、このサービスに様々な部品のラインナップもふやしていくことで付加価値も上げていきたい」と展望も述べた。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。