2019年8月29日、日本オラクルと東洋経済新報社は「サプライチェーン変革 すべての工程がリアルタイムに見える、繋がる、加速する」と題したセミナーを開催した。
今回はその中の、「製造業におけるDXへの対応は“データ・ドリブン”が肝だ!−現場間そして経営をデータでつなぐ次世代クラウドERP」と題した日本オラクル株式会社 ERP/SCM戦略・企画担当ディレクター 中島 透氏による講演を紹介したい。
市場の変化に攻守で対応する
まず中島氏は、「現在の市場は変化が激しく、例えば月次の販売計画に従って効率性重視で生産していれば良いというわけではない。日々の消費動向変化や引付け発注に超短納期と、直前まで不確定要素を引きずることが多くなっている。そのためサプライチェーン全体の俊敏性や柔軟性を高めていかなければならない。」と語った。
経営環境を取り巻く外的な変化要因として、規制緩和や市場の自由化に伴う競合他社の越境参入、またテクノロジーの変化に伴う異業種からの市場参入やビジネスモデルそのものの変化など、企業が売上を確保するために積極的に「攻め」にいかなくてはならない領域がある。
また企業の内部的な対応として、自社やお客様の情報をサイバーテロから守るセキュリティの強化、コンプライアンスを守るといった、サスティナビリティへの対応を強めていかなければ市場そのものから排除されてしまうリスクがある。
これらの攻守をより高いレベルで対応するためには、業務プロセスや全体のオペレーションモデル、さらにはビジネスモデルも変化させて対応していくことが重要となるだろう。
製造業におけるサプライチェーンの課題
製造業が持つサプライチェーンの問題点は「納期が守れない」「品質データが集まっていない」「品番ごとの原価が把握できていない」「在庫が溜まっている・欠品している」などが代表的だ。
それらが組み合わさって売り上げの減少、費用の増大、経営健全性の悪化につながっている。さらにグローバル化という流れがそれぞれの販売や生産、調達のプロセスをマルチ化させ、状況をより複雑に難しくさせている。
製造業が利益を上げるためには、「製品開発」「営業」「生産活動」の3つを連携させていかなければならない。
製品設計を行う際、顧客が必要とする機能や市場先行的な「売れる製品」を企画するためには、マーケティングや営業、サービス部門の情報がカギであるという。
また、製造コストや部品調達といったコスト要因を原価企画で考え、品質管理コストも同様に熟慮する必要がある。
生産・営業・設計が連携して市場が受け容れてくれる売価設定と、利益増大のためのコスト削減を考える必要がある。そのため、コストダウン活動を製造工程や物流工程を含めたサプライチェーン全体の中で最適化するための仕組みを考える必要があるのだという。
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![小畑俊介](https://iotnews.jp/wp-content/uploads/DSC00458-2021-07-21T08_29_24.794-scaled.jpg)
大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。