日立とニチレイフーズ、AIを活用した食品工場の「最適生産・要員計画自動立案システム」を本格稼働

近年、食品メーカーでは、需要変動に対応して商品を生産・供給することが求められている。一方、生産年齢人口の減少に伴う熟練者の不足などを背景に、先進のデジタル技術を活用した、高効率な生産体制構築への重要性が高まっている。

株式会社ニチレイフーズでは、安全・安心な商品の提供に向けて、2004年から、品質管理や就業管理、セキュリティの強化などの生産現場のシステム化に継続的に取り組んできた。これまでは、業務を熟知している従業員が自ら業務を整理して、改善のポイントを見極めてシステムに反映させる内製化を行い、実効性の高い効率的なシステムを構築してきた。

生産計画や要員計画は、経験を有する熟練者が各工場別・ライン別・生産品目別に、以下を基にして長時間かけて立案して成果を上げてきた。

  • ノウハウや経験則に基づく勘
  • 設備や納期、コスト
  • 作業者のスキルを考慮した配置(勤務シフト)などの複雑な制約条件
  • 過去の膨大な計画履歴

しかし、一定の効果は出せるが、熟練者の経験則に基づく勘をシステムに反映する事は困難な状況であった。これにより、練作業者や一部の作業員の負担が大きくなり、その改善が課題となっていた。

このような中、2018年から、ニチレイフーズと、先進的なデジタル技術を活用したLumadaソリューションを提供する株式会社日立製作所(以下、日立)は、両社の知見やノウハウを融合して、生産計画と要員計画の最適化に向けて協創を開始した。そして、2020年1月より、AIを活用して最適な生産計画および要員計画を自動立案するシステムを国内4拠点の食品工場に導入し、順次本格運用を開始した。

同システムは、熟練者の立案する複雑な制約条件を考慮した計画を、機械学習と数理最適化技術を組み合わせた日立独自のAI技術「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」により再現・進化させる。

これにより、生産計画立案業務では設備の稼働状況や納期、コスト、人員計画立案業務では作業員のスキルや勤怠といった複雑な制約条件に加え、大量の計画履歴を機械学習して見出した熟練者のパターンを、独自の最適化エンジンに組み込み、最適解を高速に導く。

熟練者は、制約条件を満たせない場合でも、条件を緩和して柔軟に計画の立案を行っており、これらのノウハウをデジタル化することで、急な需要変動や納期の変更などにも、柔軟な計画立案を支援する。また、システムによる自動立案の結果を、熟練者が評価して継続的に学習することで、計画内容の品質向上を図る。

ニチレイフーズは同システムの導入により、これまでの当該業務時間を従来の1/10程度に短縮することが可能になり、熟練者以外の従業員がよりフレキシブルな生産計画・要員配置を作成できることから、労働時間の低減や休暇取得の向上など「働き方改革」に貢献する。

ニチレイフーズでは、今後、同システムを、国内11工場と海外工場へ順次展開する計画だ。また、デジタル技術の活用して、生産性向上や生産リードタイム短縮、在庫圧縮への取り組みと働き方改革をさらに推進する。日立は、今回適用した「Hitachi AI Technology/計画最適化サービス」をLumadaソリューションとして幅広い業種の顧客に展開するとした。

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