株式会社シーイーシーは、AGC旭硝子と協業し、工場の生産革新に向けたIoT活用分野および人・設備の最適な協調作業を図るIE(Industrial Engineering)分野での新製品開発と、国内市場での販売を推進していくことで合意した。
協業の第一弾として、ウェアラブル端末のスマートウォッチを活用して、工場の労働生産性向上につなげる作業動態分析ソリューション「スマートロガー™」を共同開発し、7月1日より提供開始する。
協業の背景と目的
近年、製造業をはじめ多くの企業では、ICT技術を活用した生産性・品質の向上への取り組みが加速している。
世界トップシェアを誇るガラス事業とディスプレイ事業、化学品事業を中心に電子部材事業などをグローバルで展開するAGC旭硝子でも、現場の生産性向上を目指した改善活動を推進している。その取り組みを進めるなか、製造業向けの豊富なICTサービスを展開するシーイーシーと連携を強化し、生産物流シミュレーションソフトウェア「RaAP(ラープ)」、動線分析ソフトウェア「RaFLOW(ラフロー)」を2015年から導入し、製造ラインの工程改善などの取り組みを推進している。
今回さらなる改善に向けて両社が着目したのが、従来までは時間をかけて収集、分析していた作業者の作業情報で、その作業分析時間を短縮するソリューションとして「スマートロガー™」の共同開発に至った。
スマートロガー™共同開発の概要
作業者がスマートウォッチを装着し、工程開始前にスマートウォッチを工程ごとに設置したビーコンに近づけるだけで作業工程の実績(作業内容・時間)が自動集計される仕組み。位置情報や作業者の動作情報をきめ細かく収集・デジタルデータ化することで、顧客は「熟練作業・ノウハウの蓄積」「作業者のバラツキ解消」「ムダのない作業順序や最適な動作」に向けた改善に取り組みやすくなり、生産性向上や不良発生原因の対策にもつながる。
・生産プロセス全体の効率化に向けた「工程分析」「動作分析」などを進める顧客の分析作業を効率化。作業者が装着したスマートウォッチから動態情報を自動収集し、従来の紙や映像ベースなどの作業集計・分析に比べてかかる工数を削減する。
・熟練者の動態データをデジタル化して可視化することで、作業員ごとのバラつきをなくし、匠の技の継承にもつながる。
・測位した動態データはパソコンに取り込み、工程・作業・動作それぞれの観点から分析が可能。また、動線分析ソフトウェアの「RaFLOW」と連携することで「誰が」「どこで」「何を」「どれくらい」など、より詳細な分析もできる。
・スマートウォッチによる音声データ入力で作業を止めることなく、スムーズに作業実績をデータ化できる(音声対応・非対応は顧客の環境やニーズで選べる)。
・AGC旭硝子では国内外の工場およびグループ各社への導入を促進し、AGCグループ全体で生産性の向上を図る。シーイーシーは自動車メーカーやサプライヤー、建機・精密機器メーカーへの販売を推進していく。
今後の展望
今回開発の「スマートロガー™」に加え、ものづくりの生産性向上を目指し、AGC旭硝子の自社工場やグループ会社への展開を図りながら、そこで培ってきた実績やノウハウを活かし製造現場の生産性向上に向けたICTサービスや製品開発に注力していく。
また、今後両社はディープラーニング(深層学習)を活用し、より高精度な作業者の動態データを自動収集、分析できる仕組みの構築を目指していくという。
【関連リンク】
・シーイーシー(CEC)
・旭硝子(AGC)
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