横河電機は12月9日、同社のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みについての説明会を開催した。同社は、DX戦略で社内向けの「Internal DX」、社外向けの「External DX」に取り組んでいる。会見では、舩生幸宏・常務執行役員 デジタル戦略本部長兼デジタルソリューション本部 DX-Platformセンター長が、その推進状況について説明した。
「Internal DX」は、社員の生産性向上を目的にしており、CX(顧客体験)やEX(従業員体験)など、10の施策を実施。中でもCXに力を入れている。
具体的には、顧客と取り引き前から取り引き後のサポートまでのプロセスで顧客に価値を提供するSoE(システム・オブ・エンゲージメント)の統合プラットフォームを構築した。基盤の活用で社員の営業とマーケティングの効率化を促す一方、同時に受注を増やすという。2025年には営業とマーケティングで10%以上の効率化、見込み顧客で10%以上の増加を見込んでいる。
「CX改革で顧客にカスタマージャーニーを提供していくことで、グローバルで製品・サービスを拡大していきたい」と、舩生常務は話した。
一方、「External DX」では受注と売り上げ拡大に取り組む。主軸となるのは産業用クラウドアプリケーション開発のIoTプラットフォーム「Yokogawa Cloud」で、「アセット監視サービス」と「統合セキュリティサービス」などを提供する。
その中でもセキュリティサービスは、今後、ニーズが増加するとみている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、同社の顧客である製造業でリモートでのオペレーションが拡大し、OT(制御・運用技術)システムのクラウド化が進展。それに伴って、セキュリティリスクが増大していることが理由という。
クラウドのアプリケーションは、さらに拡充していく考え。横河電機によるとプラントは個々では最適化したオペレーションシステムが構築されているが、個々のプラント同士を結ぶ横断的なデータ連携は進んでおらず、製造業がDXを推進する上で、ネックの1つになっているという。そこで、こうした課題を解決するサービスを提供することで「External DX」でのビジネスを伸ばす。
ビジネスの拡大を見越して、社内のDX人財の強化も加速する。人材の育成では4段階のレベルを設け、それぞれで目標に対してのDXスキルの向上を実施。社内の数百人のIT人材はDX人財に転換し、比率を2021年度の30%から、2023年度には50%まで引き上げる。
「当社は計測・制御機器をプラントなどに導入を行ってきており、現場の知見が豊富にある。この強みを生かし、製造業がDXを進めるためのサービスを提供していく。今はまだよちよちだが、大きくなる可能性はあると思っており、ビジネスとして20%以上の成長を期待している」と、舩生常務は意気込みを述べた。
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