経済産業省、国土交通省、厚生労働省、文部科学省は1月10日、第9回「ものづくり日本大賞」の内閣総理大臣賞受賞者を発表した。経済産業省関係では、ミスミのオンライン機械部品調達サービス「meviy(メヴィー)」や、川崎重工業とメディカロイドが開発した国産初の手術支援ロボット「hinotori サージカルロボットシステム」などが受賞した。
「meviy」は、機械部品の設計データ(3Dデータ)をアップロードすると、AI(人工知能)が部品の形状を認識して見積もり、納期までを自動で回答。同時に、自動で工作機械用のプログラムを生成、工場側に転送し加工を即時で始める。
利用対象は工場で稼働する生産設備・装置・治具などに使用される機械加工部品で、板金・切削・旋盤加工と幅広い顧客ニーズに対応。部品調達時間を9割削減し、通常は2週間から1か月程度かかる製造納期を最短1日で出荷するという超短納期の生産を実現した。
「hinotori サージカルロボットシステム」は、国産初の手術支援ロボット。手術を実施するオペレーションユニットのアームは、人の腕に近いコンパクトな設計で高い操作性を実現。サージョンコックピットは、執刀医一人一人の姿勢に合わせるため人間工学的な手法で設計されているため、執刀医の負担を軽減する。
遠隔操作の実証実験も進めており、北海道と福岡間でスムーズな操作が可能であることを確認。これにより、一流医師による地方の外科手術や若手医師の遠隔指導など、地方の外科医不足、技術継承など、日本医療の課題解決への貢献も見込まれている。2020年8月に製造販売承認を取得、同年9月に保険適用となり、国内の様々な施設に導入され、臨床現場で活用されている。
また、経済産業大臣賞ではインターステラテクノロジズの「国内民間初、自社開発し宇宙到達の観測ロケットMOMO。大樹町の夢を乗せ宇宙利用を実業化」、インスペックの「スマートフォンの普及に貢献する世界最高性能ロールtoロール型FPC検査装置の開発」、ラピュタロボティクスの「多様な技術、製品、業界を繋ぐ、クラウドロボティクス・プラットフォームの開発・提供」が受賞。
同じく、日立製作所と日立ハイテクの「原子サイズレベルの計測精度を実現する寸法検査装置『CG7300』の開発」、ニッセー、公立諏訪東京理科大学、東京農工大学、ハッピー・サイエンス・ユニバーシティ、東京都公立大学法人東京都立産業技術高等専門学校の「世界最高性能の『緩まないねじ』とその量産用転造金型の開発」、アイシンの「地球も人も元気になれる、品質・生産性に優れた革新アルミダイカスト工場」が受賞した。
加えて、東洋炭素の「化学的にデザイン可能な細孔空間を持つ多孔質炭素『クノーベル』の工業製品化」、シャープの「令和の台所の新・必需品化を目指す自動調理鍋ヘルシオ ホットクックの開発」、湯浅醤油の「世界初!醤油発酵技術をカカオに応用『チョコレート第5次革命カカオ醤』」が受賞。
さらに、イノテックと東海国立大学機構名古屋大学の「クラウド型再生医療細胞品質管理システム『AiCELLEX』の開発事業」、マツダの「商品性と環境性と経済性を両立できるバイオエンプラ新意匠2層成形技術の開発」、HPC沖縄、一級建築士事務所 細矢仁建築設計事務所、西薗博美構造設計事務所、多田脩二構造設計事務所、技建の「ハイブリッドプレストレストコンクリート(HPC)技術の開発」、東部金属熱処理工業組合の「金属熱処理における『技術・技能』伝承のための階層別・教育訓練体系の構築」も受賞した。
国土交通省関係の内閣総理大臣賞受賞者は、水資源機構、鹿島の「遮水性盛土の総合的な品質管理法」、建商内田瓦店の「優秀施工者国土交通大臣顕彰受賞者(建設マスター)」、ヤンマーパワーテクノロジーの「世界をリードするNOxを80%以上低減した舶用ディーゼル機関」となった。
厚生労働省関係は、鉄道弘済会義肢装具サポートセンターの「卓越した技能者(現代の名工)」、デンソー、エクシオグループ、アイシン、トヨタ自動車、日立製作所、きんでんの「技能五輪国際大会金メダリスト」が内閣総理大臣賞を受賞した。
文部科学省関係の内閣総理大臣賞受賞者は、新潟県立新津工業高等学校卒業(現:山崎建築)の「第16回若年者ものづくり競技大会金賞(厚生労働大臣賞)、第21回高校生ものづくりコンテスト全国大会第1位(農林水産大臣賞)」となった。
無料メルマガ会員に登録しませんか?
IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。