NECは1月20日、NECプラットフォームズと、量子コンピューティング技術を活用した生産計画立案システムを構築したと発表した。NECプラットフォームズの福島、白石、大月、掛川の事業所で電子部品をプリント基板に実装する表面実装工程(SMT工程)で、3月から本格導入する。
NECプラットフォームズはNECが販売するICT機器製造の多くを担う。同社では、1つのSMT工程ラインで1日に約30品種もの製品を生産。そして、品種の変更時には数百種ある部品や製造条件の設定を変更する「段取り」を行う必要がある。
「段取り」はラインを停止して行うため、日々異なるオーダーに対し高い生産性を維持するには、効率的な順番で生産することでかかる時間を短縮し、設備稼働率を向上することが求められる。
しかし、複数のSMT工程ラインで生産順の検討は、ライン同士の段取りで時間の重なりの最小化など、様々な点の考慮が必要で、その組み合わせが膨大になるため、生産計画立案に時間がかかり、対応可能な人材も限られる課題を抱えていた。
そこで、2社は、量子コンピューティング技術で、大規模な組み合わせ問題を超高速で処理する「NEC Vector Annealing」のサービスを使った生産計画立案システムの実証実験を2019年から実施。
実験の結果、熟練の作業者と同等以上の生産計画を数秒で立案できることが確認できたため、今回、SMT工程ラインを持つ4事業所の製造現場に本格的に導入することにした
2社では、システム導入で、生産設備の稼働率が15%向上すると同時に、毎日1時間から2時間かけて実施する生産計画立案の工数が90%削減され、生産性向上・業務効率化が見込めるとしている。また、多様化するニーズに素早い対応が可能になるという。
今後、NECは、製造現場の生産性向上に向け、量子コンピューティングの利活用を推進する。一方、NECプラットフォームズでは、4事業所と同様のSMT工程ラインを持つタイ工場への展開を進めるとともに、サプライチェーン全体の様々な工程・業務への拡大を進め、生産性の最大化と棚卸しの最適化につなげる考え。
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