製造業向けのIoTやAI(人工知能)、ロボットを活用した自動化、省人化技術などを扱う専門展「第7回スマート工場EXPO」(主催・RX Japan)が、東京ビッグサイトで1月25日~27日で開催されている。
「スマート工場EXPO」は、同時に開催しているスマート物流EXPOなどと合わせて1420社が出展。今回はコロナ禍でありながらも、本格的な対面での商談展示会とあって、出展社の多くが既存製品やサービスのアピールに力を入れていた。設備管理や書類電子化のソリューションなどが多い中、目を引いたのがカメラを活用したシステムだ。
その中で、凸版印刷が展示していたカメラと紙のQRコードラベルを使った製造業向けDX(デジタルトランスフォーメーション)ソリューション「NAVINECT エッジ 品質管理」を紹介する。
「NAVINECT エッジ 品質管理」は、QRコードとカメラを使って製品の品質を管理するソリューションだ。SPC(統計的工程管理)とQRコードで製品個体の属性を確認できるトレーサビリティ機能で、高度な品質保証体制を実現する。

具体的には、製品ひとつひとつに個別でQRコードのラベルを発行。QRコードの情報をカメラで読み込む。

また、製品を詰めるパレットにも個別でQRコードのラベルを発行し、この情報もカメラで読み込みデータで記録することで、管理を行えるようにしている。

ブースでは、小さい化粧品や医薬品を模した製品でデモを実施。製品がベルトコンベアで送られてくると製品用のQRコードが貼られ、カメラが情報を読み取る。


次に、製品を4つで1ロットになるパレットに箱詰めを行う。同時に詰め終わったパッケージにもQRコードが貼られ、別のカメラがコードを読み込み情報をシステムに送る。

データは検査時刻、商品コード、使用期限、ロット番号、個体のパレットなどが登録さていれる。製品ひとつひとつの情報が記録された、こうしたデータを活用することで、出荷前の製品の品質を担保するのはもちろん、トラブルがあったときにも問題点の追跡が容易にできるという。

また、工程管理のシステムも提供しており、作業中に不具合が生じたときには即座に対応できるようにしている。
品質管理では、画像を使ってAIを活用して管理するソリューションなどが多い中、同社ではラベルという、あえてアナログな方法で管理するソリューションを提案している。これには印刷会社として培ってきたプリンティング技術の強みを生かすということもあるが、ソリューション導入の敷居を下げる狙いもあるという。
「製品を個別にしっかりと手間をかけることなく管理したいというニーズは非常に多い。一方で、AIなどを使った高度なシステムは導入するためのコストが高く、二の足を踏む企業が少なくない。私たちの製品は、アナログ的な手法だがそうしたソリューションよりも大幅に導入コストを抑えることができるので、優位性があると思っている」(ブース担当者)という。
ソリューションはラベル印刷で紙を使用するため、導入コストは抑えられても運用コストがかかりトータルで考えると割高になる懸念もある。この点について、凸版印刷では運用コストは非公開としている。しかし「それでもAIなどのソリューションよりも安価に運用できる」(同)と説明している。
同社では、ソリューションが、特に管理方法がひとつひとつで異なる製品製造などので役立つと見ており、分野を問わず幅広い製造業での利用を見込んでいるという。
無料メルマガ会員に登録しませんか?

IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。