ハノーバーメッセ2023レポートの第五弾は、シュナイダーエレクトリックグループのAVEVAとProLeiTだ。
インダストリアル・メタバースを実現するAVEVA
グローバルに展開するエンジニアリング・ソフトウエアプロバイダーのAVEVAは、2023年にシュナイダーエレクトリックが買収を完了した企業だ。
製品としては、エンジニアのためのソフトエアや、プラントの情報収集・可視化のためのオペレーションソフトウエア、AIを活用した予兆保全をすることができるソリューションなどを提供している。
今回の展示では、ブラウンフィールドのプラントを、レーザースキャナで3D化し、メタバース空間を構成した上で、様々な拠点から見たり、議論をしたりすることができるソリューションを提案していた。
まず、3D化する部分だが、まずは点群データを現場で取得する。そして、3D CADの情報と合わせることでより高精細に再現する。そして、エンジニアリング情報とオペレーション情報をミックスすることで、デジタルツインを立体的に捉えることができるようになるというのだ。
[冒頭の男性が背負っている3Dスキャナで設備全体を撮影し、現場の立体映像を作成する]
このソリューションの使い所だが、例えば実際に工場をつくる前に、3D環境を使ってみると「ある部分でパイプの干渉が起きそうな状態だ」など、現場の状況を立体的に捉えることが可能になる。その結果、関係者がメタバース上に集まり、多面的に議論することができるのだ。
さらに、あるプラントでパフォーマンスが落ちている際に、サイトの管理者や、工場のメンテナンス担当、サプライヤーなど様々な関係者と一緒に、OEEのデータをみる、アラートの内容を確認する、といったことを検証することができるのだ。
インダストリアル・メタバースを活用することで、問題の解析や、問題が起きている場所でのシミュレーションや安全運用、対策を取ることが円滑になる。
ProLeiT
ProLeiTは、2019年にシュナイダーエレクトリックが買収したDCS(Distoributed Control System)を提供する企業だ。このソフトウエアは、ビールメーカーなど業界や作るモノに特化したソリューションだ。
例えば、ビールメーカーの場合、作るプロセスは同じなのでテンプレート化することができる。
ビールの醸造所では、それぞれのタンクにPLCが設置されている。ProLeiTのDCSを使う場合は、シーメンス、ロックウエル、シュナイダーエレクトリックのPLCに関しては、はじめからDCSに対応しているため、エンジニアリングが必要なく、パラメータを設定するだけでよいという。
例えば、古いビールの醸造所で、シーメンスのPLCを使っている場合、DCSをProLeiTに変えるだけで全体を管理することができるということだ。
また、AVEVA Insightを使うことで、醸造状況を簡単に可視化することもできる。
さらに、ProLeiTは、機能拡張することで、MESもカバーすることができるという。MESをカバーすることができると、生産現場の稼働はかなり減るだろう。
こういった、業界特化ソリューションは、圧倒的な経験値が強みとなる。今後、このようなソリューションは、もっと増えてくるだろう。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。