2024年2月11日~14日に米国テキサス州ダラスにて、ダッソー・システムズの3DCADであるSOLIDWORKSと機能を拡張するプラットフォーム「3DEXPERIENCE Works」のユーザーイベント「3DEXPERIENCE World 2024」が開催された。
本稿では、3DEXPERIENCE World 2024で紹介された「DBOX」を紹介する。
自動でメンテナンスを行う「DBOX」
リトアニアに本社を持つDBOXは、ドローンのためのガレージ「DBOX」を開発している。この「DBOX」を街中の屋上に置くことで、インターネットに接続されていれば、自動でドローンを飛行させることができる。このDBOXは、SOLIDWORKSのスタートアッププログラムによる支援を受けて開発された製品だ。
DBOXへデータを転送することで、あらかじめ予定された飛行データをドローンに転送し飛行させることができる。1つのドローンが、DBOXから別のDBOXに飛行し、そこで別の飛行データを受け取って更に飛行するということも可能だそうだ。
ドローンがDBOXに着陸すると、DBOXはドローンを内部に格納する。この時、多少ずれた位置に着陸しても正しく格納されるように設計されているそうだ。格納されたドローンは、DBOX内部のロボットアームによって、自動でバッテリー交換が実施される。予備のバッテリーは複数個充電された状態で用意されているため、24時間メンテナンスが可能である。
また、DBOX内はバッテリーを長く維持するために温度管理がされている。雨や雪などの天候や気温からもドローンを守ることができる。DBOXには気象をモニタリングする機能も付いているため、ドローンが飛行しても安全な気象の時にしか飛行させない様になっている。
これまでドローンを使用する場合は、オペレータが現場に向かい箱からドローンを出して必要があればバッテリー交換を行い飛行させていた。DBOXを使用することで、オペレータは現場に行く必要がなくなり、箱からドローンを出す必要もなく、バッテリー交換もやらずに済むということだ。更に、DBOXにデータを送ることができるため、オペレータが迎えないような場所や時間でもドローンを飛行させることができるようになる。
DBOX自体のメンテナンスは月一回で良いため、メンテナンスに必要な人や時間を大きく減らすことができる。
現状対応しているドローンは、DJIのMavic2とMavic3である。今年の年末までには、DBOXが自社開発しているドローンも製品化される予定だとした。ヨーロッパではすでに顧客が多くいるとし、街のインフラの検査や街の3Dスキャン、ソーラーパネルの点検などの利用シーンを想定しているという。
現状は規制があるため、目視内での自律飛行までしかできないが、有人地帯での目視外自律飛行ができるようになった際には大きなパワーを発揮する製品だろう。
「3DEXPERIENCE Works EXCELLENCE CENTER」
このDBOXは、リトアニアにある「3DEXPERIENCE Works EXCELLENCE CENTER」のサポートを受けて開発されたという。「3DEXPERIENCE Works EXCELLENCE CENTER」は、デジタルソリューションの利用方法の支援をしたり製品の試作品の作成をサポートしたりしているようだ。
DBOXは3DEXPERIENCE Works EXCELLENCE CENTERからの支援を受けることで、スケッチから3Dモデルへ、更に試作品、最終的な製品までの一連の開発を3ヶ月という短い期間で完成させることができたという。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。