ハノーバーメッセ2024レポートの第四弾は、マイクロソフトのブースから。
マイクロソフトは、OpenAIへの出資のこともあって、生成AIの活用が期待されていたが、実際生成AI一色だった。
生成AIでロボットプログラミング
この展示は、KUKAのロボットの制御プラグラムを書くのを生成AIがやるというものだ。
自然言語で依頼すると、過去のデータアセットから動作可能なロボットプログラムをレコメンドしてくれる。ただ、それを鵜呑みにするのは怖いので、シミュレータで確認してから、実際のロボットに反映するというものだ。
生成AIで図面を作成
次は、産業用コネクタを作るハーティングのコネクタを生成するAIだ。
シーメンスの設計ツールを使って、自然言語で依頼した内容にあったデザインと設計をしてくれる。
デモでは、新しいレストランで使う40アンペア、220Vのコネクタをデザインしていた。
実現可能なデザインが生成され、温度シミュレーションもしてくれる。そして、3Dのオブジェクトも設計してくれるというものだ。
なぜ、この構造にしているかについても説明をしてくれるので、過去の知見を生かした設計をすることができる。
ミックスリアリティで影響分析をしてくれる生成AI
さらに、BMWはミックスリアルティソリューションを展示していた。
自然言語による質問を行うと、コパイロットがミックスリアリティの技術を使って、どこにその部品があるかを教えてくれる。
そして、例えば、ドアに設置されたスピーカーを変更した場合、どこに影響がでるかを教えてくれるというものだ。
単純な一問一答ではなく、変更した場合の影響範囲説明するため、AIが自分で「変更したい内容を教えてください」と深掘り質問をしてくる。
これまでのミックスリアリティのデモでは、シナリオ通りでない質問に対しては答えることができないため、リモートコールで人が対応していた。
しかし、生成AIを使うことで、深掘りした対話ができるので、人がいなくても深い設計に関する議論を進めることができる。
データがないと生成AIは動かない
こういったさまざまなデモをみていると、未来の製造業が大きく変わることがイメージできる。
しかし、当たり前のことだが、データがないことにはAIが適切な回答や推論をすることはない。
しかも、生産現場で使いたいデータは、現場にあるわけなので、そのデータを集めてくる必要もある。
そこで、マイクロソフトは、エッジ側でコンテナを使って抜き差し可能なコンポーネントを使い、さまざまな現場のデータを取得しつつ、現場で生成AIを使えるようにしようとしているのだ。
この図において、Azure Arcはデータを仮想化するレイヤーで、さまざまなプラットフォームやエッジから上がってくるデータを仮想化、ワンドライブ化している。
このデータをさまざまなアプリケーションが参照などをしながら活用するわけだが、マイクロソフトは、「コパイロット・テンプレート・ファクトリー」とよばれる、サプライヤーやメーカーが独自にコパイロットを作成し利用することが可能となるソリューションを提供し始めている。
今回、最先端の技術でどこら辺までができそうなのかがわかりやすい展示となっていたが、いうまでもなく、まだまだこの分野は発展するわけなので、今後の動向も細かく注視していきたい。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。