IoTxAIが作る製造業の未来 ーウフル 八子氏講演 レポート

製造業のIoTは最近動きも多く、注目されている分野だともいえるが、一方で、「センサーで集めたデータをどう料理するか」ということに関して課題を感じている企業もあるという。

そんな中、IoTxAIというテーマで製造業のビジネスイノベーションを図るというセミナーがウフル社で開催された。

IoT時代に必要なデータのセンシング

冒頭、株式会社ウフルの八子氏は、フルデジタル時代の到来に対して、「デジタル上へリアルの世界をコピーすることで、現実世界をシミュレーションできる、そして、その結果をフィードバックすることがIoTの価値となっていく」と述べた。

しかし、単純にセンサーをつけまくってクラウドにアップロードしたデータを活用して未来を予測していけばIoT社会における勝ち組になれるのだろうか?実際には世界では現状でも毎日2エクサバイトのデータが生成されているにもかかわらず、その5%しか利用がされていないということだ。では、いったい、どういうデータを取得し、どう活用していけばよいというのだろう。

この点についても、Amazon やSquare、Uber、Airbnb、などを例にあげて、「デジタルデータとリアルの状況をマッチングすることで生じる差分(=機会損失分)をうまくビジネスにすることで成功しているのだ」と説明された。

つまり、「単純にセンサーをつけまくって、クラウド上にデータをアップロードすればよい」ということではないという点が重要なのだ。

製造業におけるIoTによる変化

ウフル 八子氏 製造業とAI

デジタルとリアルの間に生じる差分を取得するためにセンサーを取り付けたとしても、実際にクラウド上に上がってくるデータは膨大な量となるはずだ。

ウフル 八子氏 製造業とAI

現状多くの人のIoTに対する解釈は、「モノをインターネットにつなげてデータ化する」というものだが、ほとんどのデータが活用されない理由は、処理スピードが人では追いつかないのだ。そこで、情報を人工知能等で高速に解析したり、予測、自動処理、フィードバックを行うことが必須となる。

製造業におけるIoTがもたらす変化

現在、北米でIoTを推進した製造業においては、新製品の準備時間を75%削減したり、北米の製造業の33%を国内工場に回帰、など多くの効果が得られている。

ウフル 八子氏 製造業とAI

中でも、サービスなどの非製品軸での発展や、市場を変えるという効果が得られるのだと述べた。

例えば、GEではIoTの取り組みによって、よく語られる予防保全メンテナンスや機材配置の最適化以外にも、非製品軸での発展や市場を変えることで、現在では全世界のフライトのエコ化をも進めているという。これはもはや、単なる製品の販売ではなく、ノウハウの販売だ。しかも、このノウハウを享受するには、「GEのエンジンであるということが必須となる」ということが重要だという。

ウフル 八子氏 製造業とAI

この、「GEのエンジンであることが必須」というポイントが実現できていないと、例えば、他のコモディティー化された製品のように、新興国の安いモノやサービスに巻き取られてしまうというところも重要だ。

日本で起きているIoTの変化

西日本で行っている部品メーカー製造業A社の例

自社のデータ、他社のデータすべて投入可能なデータ管理のData Lake Layerを作っている。この大量のデータを自社のためだけでなく、他社も利用可能とすることで得られた知見そのものを販売できるようになっているのだ。

製造業向け監視カメラ

ウフル 八子氏 製造業とAI

サポート要員が特定の設備に近づくとビーコンに反応し、どんなメンテナンスをするかがサポート要員が持つモバイルに表示されるという事例だ。
これにより、「紙マニュアルの削減」、「本社担当者との遠隔指示」、「報告書の提出のデジタル化」が進み、ノウハウが少ないサポート要員でもメンテナンスできるということだ。
しかも、工場内の労働者の動線を把握することで、工場内の危険箇所を検知したりすることも可能となる。

サトーHDのラベルプリンタ

ウフル 八子氏 製造業とAI

ラベルプリンタが稼働状況によって、課題を予兆検知しSOSを発砲するようなモニタリングサービスを作っている。

製造業アプリ

ウフル 八子氏 製造業とAI

すでに溜まっているデータだけでなく、新しくたまるデータを外部企業にも解放するというサービスプラットフォームを作っている。これは、AppStoreそのものだ。

AI活用に変化する製造業

ウフル 八子氏 製造業とAI

これらの事例を見ていると、どれも大量のデータをどうにかして価値に導いている。IoTで取得するデータは、大量になるだけでなく、データの収集速度は変化するし、データそのものも多様であったり、欠損したりする。

つまり、これまでのような標準化されたデータのハンドリングではなく、「まばらなデータ」を扱う必要が有るコトがこれまでと違う点だ。

これまで、把握しているデータを分析して現場にフィードバックしても、たいていの場合、現場は「その事実を知っている」ことが多かった。IoT時代においては現場も把握していないデータをも分析し、もともと把握していたデータとミックスすることが重要なのだ。

すでに蓄積しているデータ 記録のデータ 人力でやるコトの長効率化
これからのデータ 仮説のデータ 人力では難しい予測モデルの導出

製造業のバリューチェーンは一般的に長く、様々な業務機能のデータを蓄積しているにもかかわらず、実際は活用できていないという現実がある。今後は、こういった様々なデータを分析し、示唆を得るコトが重要となる。さらに今後の労働力減少局面では、イノベーティブな環境を作っていくことが重要なのだ。

データの爆発的増加を前提とするとIoTxAIのつくる未来は、単なる「生産性改善」というキーワードではない、AIによる大量のデータ分析、その結果の新しいイノベーションを見るべきだ。と締めた。

後編のABEJA岡田氏の講演は後日報告

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