株式会社光コムでは、新しい非接触・高速の形状測定器をリリース。この秋、大手メーカーでの採用が決定するなど、自動車、航空・宇宙などで幅広い活用が見込まれている。
同社では、さまざまな波長の光を櫛状に並べることで、対象物に接触することなく、高速・高精度でミクロン測定できる「光コム」の技術を応用し、自動車、航空・宇宙関連など、製造分野においてミクロン精度の高速検査を行う機器・システムを提供している。
これまでの測定器は、測定ルーム内での利用が前提となっていたが、同社の機器により生産現場の目視業務を完全自動化し、検査結果の全データ化が可能となった。通常の測定器とは異なる光源(光コム)を利用しているため、大型・複雑な部品も10ミクロン単位での測定が行える。また、外乱光の影響を受けないこと、カスタマイズが容易であることなどから、インライン測定(生産ラインに測定器を組み込む形式)、ニアライン測定(生産ラインのすぐ隣に測定器を単体で設置する形式)が可能となっている。
同社の技術によって、製造業の次世代を担う「インダストリー4.0」のコンセプトである、生産ラインのデータ化を高速で実現できる。これらの点が評価され、自動車メーカーでの採用や、航空・宇宙分野への進出など、最先端の製造業のニーズに貢献する取り組みがスタートしている。
光コムは、東京工業大学発のベンチャーとして、2002年に立ち上がった光学機器・ソフトウェアメーカーです。主に「光コム」という特殊なレーザーの活用に取り組んできた。今回新しく開発された形状測定器は、既存のレーザー測定器と比べて大幅な計測時間の短縮を実現。これまで、おおよそ一日かけて行っていた計測が、数分で完了する。また、精度の点においても、100ミクロン程度が限界の3Dスキャナーに対して、「光コム」を利用した形状測定器は、10ミクロンの精度で測定することが可能。
これらの新しい特徴によって、今まで検査員の目視に頼ってきた作業を、短い時間で自動的に進めることができるようになった。工数の兼ね合いから、生産ラインの一部を抜き取り検査している現場が多いが、全数検査が可能になり、検査結果も具体的な数字として記録できるため、品質管理のデジタル化を進めることもできるようになるという。
同社では、今後も国内自動車分野での実績を増やし、2017年度には海外での展開を予定している。
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・光コム(Optical Comb)
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