アドバンテックは台湾の産業機器メーカーだが、産業用PCをはじめとするスマート工場を実行する上でのデバイスやソリューションを豊富にラインナップしている。
今回のスマート工場EXPOでも多くのデバイスを展示していた。今回は、スマート工場EXPOの様子と、先日アドバンテック本社において取材した内容を織り交ぜてレポートしていく。
アドバンテックはIndustrie4.0に関して、以前よりかなり力をいれており、すでに同社の製品群におけるポートフォリオは下の写真のように構成されているのだ。
高速な処理を行うには、高速な通信と高速なPCが必須
これまで、技術革新によってなされてきたオートメーションの波によって、産業用機器は自動化と高速化が進んでいる。
IoTにおいて、産業用機械をセンサーで状況監視するという一方で、高速に動くデバイスをどのようにセンシングしていくかということは大きな問題になる。
例えば、写真のような高速に動くモーターを監視する際、監視するためのセンシングデバイスがモーターの速度についていけなかったり、通信がついていけなかったりすることがある。
このために、工場のセンシングには高価で詳細の情報が取得できるセンサーが必要であったり、無線など遅い通信が使えなかったりするケースがあるのだ。
この展示では、高速に回るモーターをセンシングし、有線でアドバンテック製の産業用PCにデータを伝送し、モーターのブレの状態をモニタリングするデモとなっている。
産業用PCも、データ抽出の速度に合わせて高速に動く必要があることが重要となるのだ。
例えば、上の産業用PCの場合、Core™ i7/5/i3 BGA1440 processorと高速なCPUを積んでいるにもかかわらず、ファンレスで見ての通り拡張性がかなりある。こういった準備をあらかじめしている汎用品をベースに顧客ニーズにこたえているところなどは強みなのだろう。
専用カメラで工場の最終品質チェックを自動で行う
GigE画像認識システムと呼ばれるこの製品は、主に自動車工場などの製造現場で視覚システムとロボットが人に変わって製品の最終品質を確保するというモノだ。
上の写真では右上にあるカメラが、製品の品質をとらえている様子がわかる。
EtherCATソリューション
最近なにかと話題の、EtherCATだが、写真の白いデバイスがEtherCATのリモートI/Oモジュールとなる。
特徴的な接続方式である、デバイス同士をつなぎ、どこか一カ所の線がきれても逆回転に情報を伝達することができる。しかもかなり高速だ。
スマートシティをイメージさせる自社オフィス
アドバンテックの本社ビルは、様々なIoTデバイスによって管理されており、その情報をWebAccessと呼ばれる同社のクラウドサービスに統合していくのだという。
同社の社屋の中には工場があって(工場の中に本社機能があるというべきか)、工場ももちろんスマートファクトリーソリューションで統合的に管理されているのだ。
もし、同社のスマートファクトリーの全体像や数千とある商品群の内容を知りたい場合は、本社に足を運べるとよいのかもしれない。当然、許可が必要だとは思われるが、かなりの展示数があり、実際に動作している様子も見ることができて非常に興味深い体験ができるはずだ。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。