2月16日、東洋ビジネスエンジニアリング株式会社(以下B-EN-G)が、製造業向け年次カンファレンス「B-EN-G IoT Forum 2017/ mcframe Day 2017」をANAインターコンチネンタルホテルにて開催した。
そのセッションのひとつである「製造現場でのIoT活用 最前線」に、株式会社日立製作所 システム&サービスビジネス ICT事業統括本部 サービスプラットフォーム事業 本部 デジタルソリューション ビジネス推進 藤田 登 氏が登壇した。
下記に、藤田氏の発表概要をまとめた。
日立グループのモノづくりとIoT化の狙い
日立は多様な製品を世界各国で生産しており、国内87拠点、海外に282拠点ある(2016年12月末)。
リーマンショックが起きた2008年ごろから、徹底的にコストを削減するHitachi Smart Transformationを進めていた。それからIoTの波が訪れ、これからは同社のIoTプラットフォーム Lumada(AI、アナリティクス、IoT)を活用し、デジタルトランスフォーメーションを進め、さらなるコスト削減を目指す。
その中でも日立が力を入れているのは「キャッシュの創出」だ。キャッシュがなければ次への投資ができないため、同社のモノづくりの経営指標としてCCC(キャッシュコンバージョンサイクル)を重視している。同社が目標にしているのは利益率が10%~20%ほどあるGEだという。
IoT推進施策とPoC推進状況
日立の現場では在庫の削減、サプライチェーンの最適化する活動を進めている。
最初に行ったのはセンターの立上げだ。ビッグデータを統合し、分析を行うためのデータ統合・分析基盤データ分析Pentahoや、日立のAI技術を組み込んだソフトウェアを揃え、日立グループでは無料に使えるようにし、PoC環境を整備した。
PoC事例
10,000以上の部品を使用したメカトロニクス製品を作るモデル工場の事例が発表された。
この工場では、受注の増加により部品在庫が急激に増大していた。その理由は、顧客が国内から海外になったことにより、海外では多くが入札方式で落札後1か月ほどで納品する必要があるため、受注前に部品を発注するようになったためだという。
長納期の部品は発注してから半年ほどかかることもあり、受注してから発注するのは間に合わない。入札後、失注すると、その部品は過剰在庫となる。また、顧客のルーズな日程管理で納期変更が多発することもある。
さらに、海外では価格競争が厳しく、社内で活発な改善活動が行われ、日々設計変更が発生している状態だったそうだ。
その対策として、これまでは下記図左の流れのように手作業で数万件のデータ対応をしていたが、数か月かかってしまっていたという。
そこで、同社がシステム化をし、キーの異なるデータの結合をし、関連データを一画面で見えるようにしたところ、これまで数か月かかっていた作業が30分で終わるようになった。
上記までの流れは下記の動画にまとまっている。
日立の挑戦
PoCでわかったこととしては、「熟練技術者も経営者も全体を把握できない」ということだったという。
そこで日立は、AIとシミュレーションでサプライチェーンを全体最適化をすることを挑戦しており、セミナーの最後にはシミュレーターのデモを紹介した。
【関連リンク】
・B-EN-G IoT Forum 2017/ mcframe Day 2017
・日立
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