日立、ビーコン活用で施工現場での作業者の行動を見える化する動態管理サービスを提供開始

株式会社日立製作所(以下、日立)は、施工現場内に設置したビーコン(*1)とスマート端末を活用し、作業者や現場監督者の行動を定量的に見える化するシステムを開発し、2017年6月から同システムを活用した作業者の動態管理サービスの提供を開始する。同サービスにより、施工管理者や監督者は、施工現場での人・機材の最適配置や作業スケジュールの効率化、安全管理の強化などが可能になるという。

日立は、株式会社竹中工務店と共同で、2016年3月から5月まで、シンガポール共和国のチャンギ国際空港第1ターミナルの拡張工事現場でフィールド試験を実施し、同システムの有効性を確認。その後日立では2016年6月から適用市場の検討、製品化に向けたアプリケーションの開発を行った。日立は、同サービスを工場や社会インフラなどの国内外の施工会社向けに提供することで、作業効率の向上と安全性の確保に貢献していくとしている。

施工現場においては、少人数の施工管理者や現場監督者に対して多数かつ多業種の作業者がいるため、作業者一人ひとりの行動を詳細に把握するのが困難だ。こうした施工現場において、さらなる作業効率の向上や安全性確保のためには、施工管理者や現場監督者の経験、ノウハウが必要だが、国内において熟練管理者が減少傾向にあることに加え、海外で施工を行う際に現地で登用する人材のマネジメント能力も大きな課題となっているという。

さらに、金属が多く用いられる施工現場では、無線電波を利用して位置を計測する場合には、電波ノイズが発生し、測位誤差が大きくなるという技術的な課題があった。

そこで日立は、計測データを補正する独自のアルゴリズムを開発し、電波ノイズによる影響を低減する高精度な位置計測を実現。さらに、施工現場で設置・移設が容易なビーコンとスマート端末を用いて、現場内の作業者の位置情報を計測することで、作業者一人ひとりの行動を定量的に見える化するシステムを構築した。工場や社会インフラなど各種施工会社に適用できるよう汎用性を高め、同システムを活用した作業者の動態管理サービスとして提供を開始する。

今後日立は、作業者の行動を見える化する機能をベースに、規制エリアに近づいた際に警報を発する安全管理システムの開発や、建物の3次元データをもとに作業者の動きと作業の進捗状況などの情報を組み合わせた機能を同サービスに追加することで、より安全で効率的な作業環境の構築を目指すという。

動態管理サービスの特長は以下の通り。

  1. 作業者の詳細な位置情報の取得が可能
    施工現場内に複数設置した省電力無線機器のBLE(Bluetooth Low Energy)ビーコンと、作業者や監督者が携帯しているスマート端末により、作業者の詳細な位置情報を取得。また、スマート端末内の気圧センサーを用いて、垂直方向の位置も同時に計測しており、作業者の高所作業などを検知することも可能。
  2. 作業者の行動の見える化が可能
    施工現場で計測した位置情報を元に、滞在エリアや滞在率、作業者同士のコミュニケーション状況などを作業種別や所属会社、作業班、作業者個人などの様々な単位で集計し、時系列に見える化する機能を有している。
  3. 作業効率向上や安全性の確保に向けた改善施策が提案可能
    作業者の行動の見える化や詳細な位置情報等の取得により、作業者の行動に起因する問題点を早期に把握し、作業効率の向上や安全性の確保に向けた改善につなげることができる。例えば、作業者が機材を取りに行くのに長時間かかっている場合や、特定の作業エリアに作業者が集中している場合には、前日の作業状況をふまえ、作業者の配置や機材置き場のレイアウトを見直すなどの改善策を提案。これにより、施工管理者や現場監督者は、人・機材の最適配置や効率な作業スケジュール化を実行することができる。

【関連リンク】
日立(HITACHI)
竹中工務店(Takenaka)

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