富士通株式会社は、インテル コーポレーションの半導体製造拠点の中で、米国外では最大拠点であるマレーシアのペナン工場において、工場の全体最適化を支援する分析・可視化ツール「FUJITSU ビジネスアプリケーション Intelligent Dashboard(以下、Intelligent Dashboard)」、クラウド型のIoTデータ活用基盤サービス「FUJITSU Cloud Service K5 IoT Platform(以下、K5 IoT Platform)、および「インテル IoTゲートウェイ」を連携させ、工場全体の環境情報(電力や水の使用量など)と半導体製造ラインの稼働状況を可視化するシステムの共同実証を2017年4月より開始した。
同システムを活用することで、経営層がペナン工場全体の状況をタイムリーに把握し、さらなる生産効率改善に向けた施策を迅速に実施することが可能になるという。同社は2017年5月より、同システムをベースとした工場最適化ソリューションをグローバルで提供開始する。
同社とインテルは、2015年5月にIoTソリューションの構築に向けて協業することで合意した。同合意に基づく取り組みの第一弾として、主にノートPCの製造を手掛ける株式会社島根富士通において、工場の製造工程の可視化による効率化に関する実証実験を行い、輸送コストの30%削減などの効果をあげてきた。
今回その第二弾として、インテルのペナン工場において、エネルギー使用量や半導体製造ラインの稼働状況など、工場全体の状況をIoTによって可視化するシステムの共同実証を開始し、生産効率の改善を目指すとしている。
工場内の電力量計や水道メーター、温度や湿度などを計測する環境センサーから得られる様々な環境情報と、半導体製造ラインの稼働状況データを、IoTシステム向けゲートウェイ装置「インテル IoTゲートウェイ」を経由して集約し、IoTデータ活用基盤サービス「K5 IoT Platform」で一元管理。さらに、収集したデータを基に、エネルギー使用量やそれに関連するコスト、製造設備稼働率などの重要な経営指標を統合的に表示可能な「Intelligent Dashboard」で可視化する。
これまでペナン工場では、工場内の環境情報を月次で集計していた。しかし、それでは経営層がタイムリーにそれを把握することができず、工場全体の効率改善には生かしきれていなかったという。同システムを導入することで、エネルギー使用量などの工場内の環境情報を日次で可視化し、工場の運用改善に向けたタイムリーな施策の実施が可能になる。
半導体製造ラインでは、これまでも各製造設備の稼働データを収集、蓄積し、製造設備に問題が発生した際の原因究明などに、その都度活用してきた。しかし、それでは経営層が製造ラインの稼働状況をリアルタイムに把握することができなかったため、生産効率の改善に繋げることが困難だったという。同システムを導入することで、工場全体の設備稼働状況をリアルタイムに可視化し、経営層が問題のある製造ラインに対して迅速な対策を行うことが可能になる。
今回のインテルのペナン工場における生産効率可視化システムでの実証で得た知見やノウハウを基に、今後同社は、2017年5月から製造分野の顧客向けにIoTを活用した工場全体の最適化ソリューションをグローバルで提供開始し、今後3年で100億円の売上を目指すという。また、今後は製造分野だけでなく、流通や小売、公共分野など、他の分野向けのIoTソリューションの拡大も目指すとしている。
提供:富士通
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