横河電機株式会社は、モバイル端末を活用し遠隔地から現場をサポートする、プラントのコミュニケーション支援サービス「SensPlus Buddy(センスプラス バディ)」を開発し、11月10日から販売を開始した。
「SensPlus Buddy」は、専用アプリケーションをインストールすることなく、Webブラウザを搭載した汎用のモバイル端末やPCを端末としてそのまま活用できる。また、直感的な操作で、ビデオ通話やAR(拡張現実)技術による視覚的な情報伝達、画像や文章の送信による情報共有が可能だ。
開発の背景
プラントでは、プラント設備の高機能化やブラックボックス化、および複数の生産設備が連携して稼働することによるシステムの複合化が進展している。その結果、生産効率が向上する一方で、設備の故障や不具合が起きた場合の要因の特定が困難になるなど、保全作業が複雑化している。
さらに、熟練技術者の引退により、保全員や保全員を育成する指導者の育成と確保が急務となっている。
プラントの保全部門の人財不足を解消、育成を支援する手段として、Industrial IoT(IIoT)が注目されている。熟練技術者による、豊富な知識と経験に裏付けられた保全作業と同等の効率と作業品質で、経験の浅い技術者も作業できるよう、現場を支援する仕組みをIIoTで構築することができると期待される。
しかし、IIoT導入によるネットワークセキュリティへの懸念、および利用環境整備の必要性が、導入の障壁となるケースも多い。そこで同社は、これらの課題を解決するために、熟練技術者の技能共有に有効な視覚的伝達を可能にする、コミュニケーション支援サービス「SensPlus Buddy」を開発した。
製品の特長
「SensPlus Buddy」は、モバイル端末を活用し、遠隔地から現場をサポートするプラントのコミュニケーション支援サービスだ。インターネットにアクセスでき、端末を持ち込める環境であればどこでも利用できる。
1. 容易な導入と直感的な操作が可能
「SensPlus Buddy」は、クラウドサービスだ。Webブラウザで動作するアプリケーションのため、専用機器の導入やネットワーク工事が不要。専用のアプリケーションをインストールすることなく、汎用のモバイル端末やPC端末をそのまま活用できる。
ユーザは高いセキュリティを確保したユーザ認証システムによって管理され、決められたグループ内でのみデータ通信が可能だ。「SensPlus Buddy」は、ビデオ通話、動画やドキュメントのスナップショット、手書きでの書きこみなどの各種機能を有し、モバイル端末で直感的に操作できる。
2. 音声と映像をリアルタイムで共有
遠隔地にいる熟練技術者やメーカのサポートセンターが現場の作業員と、ビデオ通話により、映像と音声をリアルタイムに共有できる。また、AR技術を応用したことで、現場で撮影した画像に手書きで指示を書きこむことができ、遠隔地からでも的確でわかりやすい作業指示を行うことができる。
3. 現場で必要な情報を入手
現場にいる保全員が、計器室にある制御システムの運転情報や取扱説明書などのドキュメントを参照したい場合、制御システムの操作卓の画面やドキュメントのスナップショットを送信することが可能。
利用場所と活用シーン例は以下の通りだ。
【関連リンク】
・コミュニケーション支援サービス「SensPlus Buddy」
・横河電機(YOKOGAWA)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。