横河電機株式会社は、プラント内のさまざまなデータを収集してIndustrial IoT(IIoT)を実現する、通信機能とセンサ機能が一体となった小型無線センサ「Sushi Sensor(スシセンサ)」を開発した。
その第一弾として振動と温度の両センサを内蔵した無線センサを、2018年3月より国内で発売すると発表した。
スシセンサは、プラント設備の振動と表面温度をオンライン監視することで、設備異常の早期発見や故障の予知などのプラント保全に活用が期待される。
開発の背景
プラントにおいては、生産性向上や設備保全の効率向上に対する意識の高まりから、より多くのデータを収集したいというニーズは高まっており、配線が困難な場所にも容易に設置でき、有線センサに比べ敷設コストを抑えられる無線センサの需要が増加している。
プラントにあるコンプレッサー、ポンプ、モーターといった設備や機器の振動や表面温度を短い周期で測定し、そのデータをオンライン監視することで、設備異常の早期発見や故障予知に役立てる取り組みが広がっている。
重要な設備や機器には、有線センサを設置して監視するのが通常だが、導入コストや配線などの課題から、多くの設備や機器は、保全員が巡回して点検している。
そのため、これらの機器についても、低コストで簡単に設置可能な振動や温度の無線センサを導入して、保全効率を高めたいというニーズが高まっている。
同社は、このニーズに対応し、IIoTの通信インフラとして注目されている、省電力・長距離の通信を実現する広域無線通信方式LPWAの1つであるLoRaWANに対応した小型無線センサ「スシセンサ」を開発した。
同社はフィールド無線通信規格ISA100 Wireless(ISAが推進するインダストリアル・オートメーション用無線通信規格ISA100.11aに基づく通信技術とそれを実現するアプリケーション)に準拠したフィールド無線システムを提供している。
スシセンサの特長
1. 耐環境性に優れたプラント向けIIoTに適したセンサ
「スシセンサ」は、耐環境性が要求されるプラントに導入できる屋外設置可能な、IIoTに適した小型無線センサで、振動と温度の両方を測定できる。
2. プラントに容易に導入
長距離通信を実現する通信方式LPWAに対応したことで、通信距離を延長するために必要な中継器の設置が不要となる。電池で駆動するため、電源の供給も不要。また、「Sushi Sensor」は小型・軽量のため設備や機器に簡単に設置できる。
さらに、近距離無線通信(Near Field radio Communication:NFC)に対応したことで、センサの設定とデータ監視を、スマートフォン上の専用アプリから容易に行うことができる。
3. クラウドサービスとスマートフォンで監視
「スシセンサ」のデータ監視は、LoRaWANのゲートウェイを経由してクラウド環境で行うか、NFCによりスマートフォンの専用アプリで行うことが可能。
プラントの運転員や保全員は、遠隔地からでも現場でも、設備の振動や温度を把握することができる。
なお、クラウド環境としては、同社の子会社で国内制御事業を担う横河ソリューションサービス株式会社が提供している「GRANDSIGHT」を活用することができる。
主な市場としては、石油、石油化学、化学、鉄鋼、鉱業、ガス、電力、紙パルプ、薬品、食品、上下水道などのプラント向けがある。
そして、これらのプラントで使用されるコンプレッサー、ポンプ、モーター、ファン、コンベアなどの設備や機器の振動と温度の測定に活用が期待される。
【関連リンク】
・横河電機(YOKOGAWA)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。