オムロン株式会社とシスコシステムズ合同会社は、製造現場のIoTにおいて、高セキュアなシスコのエンベッドサービスルータ(ESR)を搭載した、プログラマブルロジックコントローラー(PLC)の開発における技術提携をすることで合意した。
オムロンは、今回の技術提携に先立ち、主力PLC「マシンオートメーションコントローラーNJシリーズ」にセキュリティ対応の国際標準通信規格「OPC UA」を標準搭載したモデルを、2018年1月上旬より出荷する。
これにより、OPC UAに対応したソフトウェアや機器とセキュアなデータ通信が実現できるという。
さらに今回の技術提携を通じて、オムロンのPLCにシスコのネットワーク・セキュリティ技術を組み合わせることで、認証対象を人や機器にまで拡大すると共に、パートナー企業の機器を含む幅広い制御機器で構成するオムロンのIoTサービス基盤「i-BELT」のセキュリティを高め、製造現場のデータを安全かつ簡単に収集・分析し活用できる環境を創出するとしている。
製造業では、モノづくりの更なる進化でグローバル競争力を強化し、企業価値を高めていく取り組みが進められる中、デジタル技術の積極的活用による製造現場のインテリジェント化が課題となっている。
一方、ランサムウェアをはじめとするマルウェアによって生産活動が停止する事例が複数報告されるなど、これまで以上に製造現場は脅威にさらされている。
また、食品・医薬品の製造現場での規制強化や、電子部品業界での個々の部品に対する品質トレーサビリティ要求など、顧客や市場が期待する品質・安全性の水準は日々高まっている。
そこで、今回の技術提携によりオムロンとシスコは、「製造現場で作業する“人”、機械・製造ラインにつながる“機器”、やりとりされる”データ“」の3つの要素に対し、オートメーションの中核を担うPLC自身がセキュリティ認証するセキュアな環境づくりに取り組むとしている。
PLCによる「人・機器・データ」のセキュリティ認証について、具体的には以下の通りだ。
- 人(ユーザー)認証:
PLCに接続するユーザーを認証し、正規ユーザーに対してのみ接続を可能とするリモートアクセス(VPN)を提供することで、製造現場にあるPLCや機械を安全に監視する。 - 機器認証:
機器が接続されたことを検知し、不正な機器からの通信をブロックし、リアルタイムに警報を通知する。 - データ認証:
通信データを暗号化し、正しくデータがやりとりできるようにし、ネットワークに流れるデータの詳細を監視・可視化することで、不正な通信やセキュリティ脅威を検知、記録する。
【関連リンク】
・オムロン(OMRON)
・シスコ(Cisco)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。