株式会社安川電機は、インバータによる機械・設備の視える化、および故障予知や不具合の検知を実現するプログラミングツールDriveWorksEZ(ドライブワークスイージ)の機能を強化したバージョンアップ版を、本日リリースした。
開発の背景
安川電機は、長期経営計画「2025年ビジョン」に掲げている「新たな産業自動化革命の実現」に向け、新たなソリューションコンセプト「i3-Mechatronics(アイキューブ メカトロニクス)」を昨年10月に発表した。
顧客の機械・設備を充実させるためのコンポーネントを中心とした既存のハード面でのソリューション提供に加え、その機械・設備を実際に稼働させた後のデータ活用による生産性の向上、高い品質の確保・維持、そして止まらないラインの実現といったソフト面での製品力を拡充し、顧客の生産現場において新しいトータルソリューションの提供を目指している。
近年、産業界をとりまく環境は、IoT・AIを活用した視える化やフレキシブルかつ高効率な生産ラインの実現など大きく変化しようとしている。そのような背景から、機械・設備の生産効率向上や保守費用削減を目的とした運転状況のセンシングや、それを活用した機械の故障予知に対するニーズが高まっている。
プレス機やコンプレッサなど様々な機械・設備で使用されている当社のインバータGA700は、プログラミングツールDriveWorksEZを用いてカスタマイズすることでモータの制御だけではなく、インバータの内部情報を用いたセンシングを行うことができる。そのデータを活用することにより機械・設備の視える化および、故障予知や不具合の検知を行うことが可能だ。
インバータによるセンシング機能の概要
インバータはモータを制御するとともに、モータやインバータ自身の運転状況を常にモニタリングしている。モニタリングしたデータを加工・判断し、正常時と違う状態を検知することで機械・設備の故障予知や不具合の検知を実現する。
故障予知の条件はDriveWorksEZのプログラムにより、顧客の機械・設備に合わせてフレキシブルに設定することが可能。また、故障予知した結果を上位コントローラに伝えることで、稼働状況を視える化できる。
センシング機能の活用例
1. コンベヤの故障予知
コンベヤのベルトが搬送物などによって傷ついた場合、その傷がローラーなどに接触することで、振動が増大する。この振動の変化をインバータ内部のトルクモニタで検出して、アラームとして通知する。
2. フィルタ目詰まり検知
ファンやポンプではフィルタの目詰まりやごみの堆積により、モータの電流(消費電力)が変化する。その電流(消費電力)をインバータ内部の電流モニタで検出して、アラームとして通知する。
DriveWorksEZバージョンアップ内容
DriveWorksEZのバージョンアップにより、故障予知・不具合検知の精度や作業効率が向上する。
1. リモートI/O機能の追加
インバータGA700が通信マスタになり、スレーブのリモートI/Oを通信で制御することで、他の機器を動作させたり、リモートI/O経由でセンサ信号を取り込んだりすることが可能。
インバータ内部で得られるデータ(モータ速度、電流、トルクなど)のみならず、外部のセンサからのデータも取り込むことで、故障予知の精度を上げることができる。また、得られたデータはMECHATROLINK等のネットワークを介して、上位コントローラにフィードバックすることができる。
2. マスタ/スレーブ運転機能の追加
インバータGA700が通信マスタになり、スレーブインバータを通信で制御することで、簡易巻取機やコンベヤの同期運転等の簡単な制御をインバータ2台で構築できる。また、運転状況や故障予知データはMECHATROLINK等のネットワークを介して、上位コントローラにフィードバックすることが可能。
3. シミュレーション機能の向上
従来、DriveWorksEZで作成したプログラムの動作確認にはインバータと接続する必要があったが、これをパソコンのみでシミュレーションできるようになった。通常動作やステップ毎の動作が可能で、インバータや設備がなくても、事前にプログラムの確認、修正が可能。これにより、故障予知までの導入等がスムーズになるという。
【関連リンク】
・「DriveWorksEZ」製品ページ
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