ヘルスケア連携
医療の質の均てん化の事例を紹介した後、日本マイクロソフト・大山氏はヘルスケア連携の事例について説明を行った。
事例を紹介する前に、まず大山氏は同社のクラウドプラットフォームの信頼性について見解を述べた。
大山氏は「様々な情報が連携していかなければ、医療の質の底上げには繋がらない。連携するためにはクラウドプラットフォームが重要な位置づけとなる」とし、どのようなクラウドプラットフォームが医療機関における重要な情報を信頼して置いてもらえるのか、について大きく2つの要素があると語った。
1つは法制度や業界特有のガイドラインに対応していくこと。これについては、厚生労働省、総務省、経済産業省が発表している3省3ガイドラインに準拠したリファレンスの提供などを具体亭として大山氏は挙げた。
2つ目は患者の医療情報の取り扱いに関する法的見解。「日本においては個人情報保護法があるが、医療情報を扱う際に第三者提供にあたるのか否かが問われる。マイクロソフトクラウドに上げても、それは第三者提供に当たらない、という見解をクリアにしており、場合によってはコミットメントレポートも発行もしている」と大山氏は言う。
つまり、データのオーナーシップはどこまでも顧客のものであり、マイクロソフトは運用やセキュリティの部分を担っているだけで、データの中身に関しては顧客のものなので第三者提供には当たらない、という立場を表明しているというのだ。
この2つの要素によって「マイクロソフトのクラウドプラットフォームがデータを預ける場所として信頼できるものにする」と大山氏は語った。
クラウド連携に関する事例の1つとして大山氏が挙げたのは、電子カルテにおける「Azure」の採用拡大である。
例えば亀田医療情報が「blanc(ブラン)」と呼ばれる電子カルテを発表したが、このプラットフォームにマイクロソフトの「Azure」が採用されたという。これは2020年1月からクリニック向けに提供され、さらに2021年1月よりホスピタル向けにも提供開始を予定しているとのこと。
一方、病院だけではなく医薬品業界にも「Azure」採用が拡大している。これについて大山氏は2つの例を紹介した。
1つは中外製薬の例。同社はデジタルトランスフォーメーションを中期経営計画の中核として進めているが、その中心に「Azure」を据えているという。具体的にWindowsサーバーの多いオンプレミス環境を「Azure」でクラウド化する、「Azure」上でチャットボットなど業務の効率化を支援するようなツールを用いて働き方改革を進める、といった事に取り組んでいるとのこと。
2つ目はみらかホールディングスの例。こちらはセキュリティの部分で「Azure」を活用しているという。具体的には「みらかホールディングスが所有するデータセンターと「Azure」上のシステム、「Microsoft365」のシステムを一気通貫でセキュリティ監視し、そこで溜まったログをAIで解析し、新たなセキュリティ対策を行っていくことに取り組んでいる」と大山氏は語る。
その中核となっているのが「Azure Sentinel」というクラウド型脅威対策インテリジェンスになるが、「これを日本で採用する企業はみらかホールディングが初である」ことを大山氏は説明に付け加えた。
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1986年千葉県生まれ。出版関連会社勤務の後、フリーランスのライターを経て「IoTNEWS」編集部所属。現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。