生活者にとって身近なモノもIoTを活用することで新しいサービスができあがる場合がある。
古くは、電球の光や色をスマートフォンで調整することができたり、落し物がどこにあるかがわかるといった、シンプルな便利さを訴求するモノも多く登場した。
その後、様々なモノが登場し、毎年ラスベガスで開催されるCESをはじめとする多くの展示会において紹介してきたが、最近筆者が気にあったモノを3つ紹介する。
IoTの事例を知ることで、IoTのひろがりを実感してもらえればと思う。
試着姿を撮影・比較・保存・活用できるデジタルミラー「MYCLO(マイクロ)」
丹青社が開発したデジタルミラー「MYCLO(マイクロ)」はアパレル店舗における試着を改善するソリューションだ。
アパレル店舗では、試着する顧客にスタッフが1対1で対応するのが理想だが、緊急の業務対応に追われたり、そもそも来店する顧客が多くて混雑している場合などは、理想の接客ができないことがある。
しかし、試着する顧客へ接客することは、商品購入を後押ししたり、購入検討商品と抱合せでの購入をおすすめしたい商品を提供することができるといった機会を創出する。
こうしたジレンマを解決するのがデジタルミラーの「MYCLO(マイクロ)」だ。
来店した顧客は、試着したい商品に着替えたあと、デジタルミラーで正面・側面・背面など複数の角度から高解像度で試着姿を撮影できる。
また、撮影したデータはデジタルミラーに保存されるため、試着した商品が複数ある顧客は、その場で比較検討ができる。くわえて、顧客はこれまでスタッフに聞くことでしか分からなかった在庫の有無や他のサイズ、他の色があるかどうかといった情報もその場で確認できる。
試着後、その場でECサイトにアクセスし、クレジット決済を行うことも可能だ。
なお、顧客は自身のスマートフォンから専用のアプリを通じて、試着時の写真を閲覧できる。その写真をメール・LINE・SNSで友人や家族に共有することで、客観的な評価をもらうこともできる。
アパレル店舗側も試着の対応にかかる時間が短縮化されるという直接的なメリットから、顧客の好みを把握し、DMといった販促活動につなげることができるという間接的なメリットも享受できるようだ。
普段の生活で簡単に代謝アップの習慣づくりができるダイエット体重計「JouleLife」
アキネイター日本版の開発元であるアップ・スウェルはウエルネスデータ株式会社と協業によりJouleLifeを販売している。
JouleLifeは専用のアプリと体重計を準備することで、利用可能だ。
まず、ユーザーはJouleLifeのスマホアプリをダウンロードし、理想の体重、体脂肪率の数値を設定する。
次に、「日常生活」「ジム」「スポーツ」「レジャー」の4つのカテゴリの中から、ユーザーが自身のアクティビティを登録する。ユーザーがアクティビティを登録すると、JouleLifeがユーザーのアクティビティ内容・バイタル情報(年齢・性別・身長・体重・体脂肪率)から、消費カロリーを算出する。
このバイタル情報のうち、体重・体脂肪率は、ユーザーがJouelLifeの体重計に乗るだけで、自動的にスマートフォンへ記録されるようだ。
ユーザーは日頃のアクティビティを登録しながら、ときどき体重・体脂肪率を測定することで目標達成までの進捗を確認することができる。
なお、同社の調査によると、30日以上継続して使ったユーザーのうち約78.4%がダイエットに成功しているという。
濡れない体験を後押しする傘シェアリングサービス「アイカサ」
家に帰れば傘はあるのにも関わらず、その場しのぎでついコンビニで傘を購入してしまうケースはないだろうか。
それを繰り返しているうちに、自宅には不必要なほどに傘がたまってしまう。
そこでNature Innovation Groupは遊休スペースを活用したシェアリングサービス「アイカサ」を運営し、突然の雨に濡れない体験を創り出している。
- ユーザーはスマホがあれば利用ができ、まずLINEでアイカサを友だち追加するところからはじめる。
- そしてユーザーは使用したいときに、アイカサのLINEアカウントをクリックする。
- アカウントページに入ると傘を借りるというボタンが表示されるので、それをタップするとアイカサスポットが表示される。
- そのままQRリーダーを起動することができ、傘のQRを読み取ることで、アイカサスポットに置かれていた傘の施錠がはずれるという仕組みだ。
- ユーザーは使い終わったら、傘立て前面にあるPOPの返却用QRを読み込むことで、傘を返却することが出来る。
なお、借りた場所と返す場所は同一である必要はなく、借りた傘はアイカサスポットであれば、どこにでも返せるようだ。
利用料金は1日70円だが、420円を上限に課金が止まるため、6日以上利用すれば、当月末まで使い放題になる。
2019年10月1日時点で登録人数は52,000人、加盟店舗数は612店舗だ。
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現在、デジタルをビジネスに取り込むことで生まれる価値について研究中。特にロジスティクスに興味あり。IoTに関する様々な情報を取材し、皆様にお届けいたします。