総務省は、「ICT重点技術の研究開発プロジェクト」を行っている。
このプロジェクトは、ICTの研究開発がイノベーション創出の原動力であるとして、重点的に取り組むべき研究開発課題をあらかじめ設定し、民間企業、大学、その他の研究機関等に委託して研究開発を推進するものだ。
株式会社KDDI総合研究所は、そのプロジェクトの1つ、「IoTデバイス/プラットフォーム等の連携技術の確立と相互接続検証に向けた研究開発」を2017年から検討している。
これは、複数事業者によるIoTデバイス/プラットフォーム等の連携技術を確立し、その成果を活用して実サービスを目指した相互接続検証の実施、確認を行い、さらに連携技術について国際標準化提案を目指す取り組みである。
今回、KDDI総合研究所は、パーソナルデータの流通性を高めるとともに、プライバシーの保護も実現する「生体情報を中心とした個人向けIoTサービス基盤」を開発した。
同基盤は、パーソナルデータの流通とプライバシー保護の両立を目指した2つの技術から構成されている。
- APPM(Advanced Privacy Preference Manager)
プライバシー関連法制度に対応し、個人ユーザ向けポータルサイトによるデータ提供可否の一元的設定(同意内容)や、その設定に基づきデータ転送を制御・管理する機能を備えたシステム - IoTデータ流通システム
IoTデバイスから得られるデータ(生体情報、車両情報等)をAPPMからの制御に基づきセキュアに転送するシステム
KDDI総合研究所は、2018年10月に立ち上げたPARMMIT協議会において実証実験を行ってきた。
※PARMMIT協議会とは、生体情報等のパーソナルデータを対象とした、同意取得等を含むIoTプラットフォーム高度化技術の実証検証を行い、データ連携によるビジネス創発の促進等を図ることを目的とする団体である。
実証実験は、PARMMIT協議会に参加している24の企業・団体が3チームに分かれ、同基盤を用いた相互運用を実施した。
実証実験の参加者が同基盤のユーザビリティを評価した結果、多くの参加者がAPPMでのデータ提供にポジティブである一方、手間がかかるや不安感があるなど、今後さらに改善に向け取り組むべき点も明らかになった。
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大学卒業後、メーカーに勤務。生産技術職として新規ラインの立ち上げや、工場内のカイゼン業務に携わる。2019年7月に入社し、製造業を中心としたIoTの可能性について探求中。