患者が寝たきりなどによって皮膚に炎症が生じる褥瘡の予防には、看護・介護者による体位変換や座位姿勢の補助などが必要とされている。しかし、高頻度かつ看護・介護者の身体的負担が大きく、経験に頼る部分が多いため、論理的な対応が難しいとされている。また、医療・介護現場では定期的に巡回を行い、患者を見守るなどの業務負担が大きいことが課題だ。
今回、凸版印刷株式会社は、一般社団法人MBTコンソーシアムを通じて、公立大学法人奈良県立医科大学(以下、奈良医大)の脳神経内科学の協力の元、3次元センシングによって得られたデータと褥瘡予防の相関関係をAIにより論理的に推定し、医療・介護現場における負荷軽減を目指す。
具体的には、低消費電力広域ネットワークLPWA規格のZETAとベッドにかかる荷重の度合いから患者の状態を把握できる3次元センシングを活用し、奈良医大がこれまで培ってきた褥瘡予防のノウハウを可視化する。また、他の医療機器への影響が少なく低価格で導入できるため、病院や施設内に容易に設置可能なZETAを使用することで、センシングした情報を集約し、遠隔からリアルタイムで見守りを行う。
本日より医療・介護現場での看護・介護者の負荷軽減や人手不足を解消することを目指す実証実験を奈良医大で開始した。検証内容は以下の通り。
- 3次元センシングで取得したデータと褥瘡予防との相関関係を検証
カメラやマット型の圧力センサーではなく、荷重センサーをベッドの脚に設置する。これにより、患者の体に力がかかっている部位やベッド上でどの位置に力がかかっているかなど、荷重データをセンシングし、そのデータと褥瘡予防との相関関係を検証する。 - 奈良医大がこれまで培ってきた褥瘡予防のノウハウを可視化
医療現場で行われる褥瘡予防に必要な体位変換や巡回の頻度など、これまで経験に頼っていた部分をZETAと3次元センシングで可視化する。奈良医大のノウハウを水平展開することを目指し、褥瘡予防を論理的に推定することを検証する。
なお、凸版印刷は、国立研究開発法人情報通信研究機構(以下、NICT)の委託研究「データ連携・利活用による地域課題解決のための実証型研究開発(第2回)」(2019年度から2020年度の2年間)を受託している。
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