福岡工業大学情報システム工学科の李研究室は、心臓や血管の病気のリスクを減らすために、「血管の硬さ(血管弾性度)」「血圧」「心拍数」の3つの情報を指に着けるだけで測ることができる指輪型の血管健康度チェックシステムを開発した。
同研究室の「指輪型デバイス」は手軽に、頻繁に循環器系のリスクを把握することを目指している。
デバイスは従来の検査機器と比べて約9センチと小型だ。
搭載されている光センサーが指の指基部の脈波を計測し、脈波の一拍ごとの間隔から「心拍数」、振幅の変化特徴から「血圧」、血圧に対する容積変動から「血管弾性度」を計算、それぞれの特徴をマイクロプロセッサが分析して血圧値及び血管の硬さを算出する。
血圧と血管の硬さである血管弾性度は、似ているようで異なる。
血管が硬くなる原因には、過度な血管内圧(高血圧)による血管膨張で硬くなる「機能的変化」とコレステロールなど血管内の老廃物によって硬くなる「器質的変化」がある。
よって、血圧が正常値でも、血管が硬いので循環器系のリスクが高い人も多いという。
つまり、1つの指標だけではリスクを計算することは難しい。同システムを用いた研究では、血圧がほぼ同じ人々の中で、喫煙歴のある人がない人に比べて血管が硬化していることが報告されている。
腕や手首は血圧計測でよく用いられるが、太いため生体組織を透過する光を用いる血管弾性度の測定は難しい。また指先端は血管弾性度計測でよく用いられるが、血管が細いため血圧の測定は難しいという課題がある。
その点、指基部は気温やストレスなど外的影響を比較的に受けにくく、血圧と血管弾性度の同時計測が可能なため、同デバイスでは計測箇所に指の指基部が選ばれている。
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