キナクシス、ジェネリック医薬品のSandozのソリューション導入によるDX効果を紹介

キナクシス・ジャパンは1月12日、同社のデジタルサプライチェーンソリューションである「RapidResponse」を導入したジェネリック医薬品企業のSandoz(サンド)のDX(デジタルトランスフォーメーション)の取り組みと効果についてのレポートを発表した。

Sandozは、生産性の向上やビジネスチャンスの創出を目指して、数年前から社内のDX化を推進。特に、サプライチェーンマネジメント(SCM)のDXを通して、サプライヤーや顧客とエンド・ツー・エンドでつながり、メーカーから患者や医療提供者までのサプライチェーン全体の価値をいかに引き出すかと、サプライチェーンをより弾力性があり、可視性の高い状態にして、低コストで運営できるかに取り組んでいる。

同社では、DXの推進でデジタル・パートナーやサプライヤーを見極めと関係性を構築することに注力。また、人工知能(AI)、自然言語処理、予測分析などのプログラムやアドバンスド・プランニングなど、新しい分野への投資も継続的に行っている。その一環として、キナクシスの「RapidResponse」を導入した。

ソリューションは、1つのプラットフォーム上ですべてのデータを統合できる。そのため、同社ではビジネスの将来的なビジョンや販売事業計画をより具体的に示すことが可能になった。また、外部パートナーや社内チームとリアルタイムでコミュニケーションを行い、状況を把握するのに役立っているという。

Sandozは、現在プラットフォームの立ち上げと運用を中心的に行っているが、「RapidResponse」は、簡単に確認、作業ができるとしている。具体的には、ひとつのプラットフォーム上で、生産能力や需要、サプライチェーンの情報のパラメータを自由に調整し、様々なシナリオが実行できることを挙げている。また、サプライチェーン全体の制約を解除し、新しい優先順位に基づいて再制約も可能なため、生産能力を最適化し、より多くの対応と供給ができるとしている。

加えて、これまで、1か月かかるといわれていたS&OP(販売事業計画)プロセスで、「RapidResponse」を活用することで、数日間での実行が可能となった。Sandozでは、プラットフォームを通じて、より同時並列的なプランニング(コンカレントプランニング)が可能になることを期待している。

同時に、薬効領域入札の予測も可能になるという。過去の入札のデータを基に入札時期を予測し、入札と需要のパターンを理解することで、効率的な在庫生産やリードタイムの把握が可能となり、患者のニーズに最適な形で提供ができることが理由。また、今後起こりうるリスクを予測し、複数のシナリオを想定することで、入札の勝率の向上にもつながるとみている。

今後、起こりうるリスクについては、例えば、FDA(米食品医薬品局)の検査違反があった場合や、自然災害が発生した場合などのデータを収集し、過去の在庫切れの傾向とともに、予測モデルに反映させることで、「このような事態が発生する可能性がある」と判断できるようになるという。

また、将来の予測では、価格をサプライヤーの数や製品が複雑かどうかなど、すべての要素を考慮して決定することも重要な作業となるとしている。薬価が低くなる傾向にあるジェネリック医薬品では、価格の設定が持続的な供給に影響を及ぼすことを理由にしている。

Sandozが活用するモデルでは、6~8か月の範囲で供給停止の傾向を予測することができるため、それに対しての在庫請求やプランニングで今まで対応できている。これは、「RapidResponse」が、各業務領域でパラメータを柔軟に調整できるため、すべてのノードが相互に連携する複数のシナリオを実行することが可能にしていることがある。

同社は、製品のトラック&トレース(貨物追跡)についても着目。新しいテクノロジーに目を向け、それをどのように活用するか、リスクと利益の両方の観点から検討。貨物追跡は、薬局まで個々のユニットの追跡を可能にし、製品がどこで滞留しているかが分かるため、流通側と製造側にとって大きな利益をもたらす一方、顧客や流通業者が、Sandozのサプライチェーンの状況を把握できるようになることで、チェーンのどこかで問題が生じた場合に彼らを失う危険性を課題に挙げている。

同社は、サプライチェーンに関する情報の共有は、一緒に問題を解決するための共同作業につながる一方で、そのデータを他社に利用される懸念もあるため、信頼できるパートナーの存在が必須とみている。そのため、セキュリティ面でも信頼関係について話し合い、一緒に取り組む必要があるといい、パートナーと話し合いを出発点として成長していくとしている。

さらに、世界全体での医薬品のサプライチェーンを考えると、世界各地の生産能力、入手可能な医薬品成分、リードタイムを把握し、企業の競争力を高めるのではなく、豊かな国に加えて低所得国や中所得国にも医薬品を提供できるような方法を見いだすことが重要と考えているという。そのために、政府、政策立案者、民間企業との協力関係を築き、目標達成に向け、協力のよりよい方法を見つけることが大事としている。

Sandozは、デジタル技術は、情報の流れを円滑化するすばらしいツールで、その上に人間性(信頼の構築や政策の立案など)を加えることで、必要なときに必要な患者をケアすると同時に、医薬品のイノベーションを促進できるとみている。さらに、必要なときに企業のリソースを共有しながら早期の問題発見と課題解決に取り組み、知的財産と資本が保護される方法でイノベーションを実現できることが理想として、新たな協力関係の構築を重要と位置付けている。

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