株式会社構造計画研究所は、介護施設における課題解決を目的として、非接触で体動や心拍・呼吸などのバイタルデータを感知できるセンサー技術を用いて、ベッド上での起き上がり動作を高精度に検知できる介護ベッド用の離床リスク検知センサー「EVER Relief(エバー・リリーフ)」を開発し、販売を開始した。
介護施設においては入居者単独での離床時に発生する転倒事故が後を絶たず、施設側ではその予防に対策を迫られている。そのため、適切なタイミングで介助を行うべく、各種センサーを用いて離床を検知しようと試みているが、現場では以下のような課題が存在する。
- 離床時の転倒による怪我を予防したい
入居者の怪我の原因は離床時の転倒によるものが最多 - 床に足をつく前にいち早く検知したい
転倒リスクの高い入居者にとっては、床に足をついた時点の呼び出しではすでに手遅れ - 誤報や失報をなくしたい
すでに各種離床センサーが販売されているが誤報や失報が多く、それらが余計に介護スタッフの負担になっている - 就寝中のバイタルデータ異常を検知したい
看取り検知ができるように、とのニーズがある
また、厚生労働省は、入居者の人間としての尊厳を守る一つの手段として、過度の監視や拘束が必要なくなる介護ロボット(見守り支援機器)の利用を推奨している。
「EVER Relief」はベッドでの起き上がり動作を非接触で検知できる介護ベッド取り付け型のセンサー。「EVER Relief」がベッド上で人の起き上がり動作を検知すると、自動的にナースコールを鳴動させ、介護者に知らせる。複数のセンサーで要介護者の動作を立体的にとらえることで、現在、普及している離床センサーに比べ誤報・失報を大幅に減らすことができるという。
2014年に「バイタルセンサーを用いた施設型見守りシステム」として、「EVER Relief」のアイデアが経済産業省の公募事業に採択されて以来、構造計画研究所は関係者と協力しながら実証実験を行い、ユーザーのフィードバックを元に製品化を進めてきた。
「EVER Relief」の特長は以下の通り。
- 起き上がり動作を正確に検知して「見守り」を支援
「EVER Relief」は複数のセンサーを用いて起き上がり動作を立体的に捉える。現在、最も普及しているスイッチタイプのセンサーに比べ、単なる寝返りでもナースコールが鳴動してしまう「誤報」、必要な時に検知ができない「失報」の割合を大幅に減らす。
離床する前の、起き上がり動作から端座位への移行を検知できることから、介護者は要介護者の元に早めに駆けつけることができる。これにより、離床に介助が必要な要介護者の転倒による怪我予防、徘徊の可能性がある要介護者の徘徊予防に役立つ。 - バイタルセンサーで就寝中の見守りが可能
体動・心拍・呼吸の3つを感知。バイタルデータ(心拍・呼吸)の挙動により、起き上がりだけでなく就寝中の異常な体調変化の際にもナースコールを鳴らす。
また、バイタルデータをクラウド上に蓄積することで可視化し、その傾向や変化を介護方針にフィードバックできる。(※オプション)
- 設置・設定が簡単
センサー設置に特別な工事は不要。また、バイタルセンサーは使用前に各種パラメータの設定が必要だが、複数のプリセット条件(対象者の動きのはやさ、サテライトセンサーの設置位置、マットレスの厚さ等)が用意されており、使用条件に合わせてスマートフォンアプリで簡単に調節できる。
- 利用者に不快感を与えない非接触センサーかつコンパクト設計
厚さ18 mmのメインセンサーは、マットレスの下に設置しても寝心地に影響しないコンパクトな設計。また、利用にあたり、要介護者への接触は不要のため、センサーによる不快感を与えない。
【関連リンク】
・構造計画研究所(KOZO KEIKAKU ENGINEERING)
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