日本電気株式会社(以下、NEC)と株式会社FiNCは、ヘルスケア領域で協業を開始した。NECの最先端AI技術群「NEC the WISE」とFiNCの法人向けウェルネスサービス「FiNC for Business」(注1)とAI技術を組み合わせ、新たな企業向けウェルネス・ソリューションの共同開発を行う。同ソリューションは2018年の提供開始に向けて、2017年6月から6か月間、NEC社内で実証実験を行うとしている。
同ソリューションは、企業内で従業員の健康状態を把握するために、カメラやウェアラブル端末などのIoTデバイスにより、人の表情、声音、脈拍や体温などの生体情報を取得し、「FiNC for Business」のアプリケーションに蓄積された食事や運動等のライフログデータと組み合わせてAI技術で可視化・分析を行う。これにより、従業員がデータ入力を行うことなく、従来の定期健康診断では困難だった健康状態の日々の変化や健康リスクを捉え、より早い段階での気づきや健康促進に関するタイムリーなアドバイスを行うという。
両社が行う協業の概要は以下の通り。
- AI・IoT技術領域での共同研究を実施
従業員の健康状態を取得するIoTデバイスおよびNECのAI技術と、FiNCの生活習慣への指導ノウハウと「FiNC for Business」を組み合わせ、新しいウェルネス・ソリューションの開発を行う。また、両社は、AI・IoT技術を用いた人事・労務向けウェルネスデータ分析マネジメントツール「FiNC Insight」の高度化や、従業員の心身の健康状態及び健康リスクの早期発見につなげるサービスなど、新規サービスの共同研究を実施。 - 両社内でのウェルネス・ソリューションの実証実験を実施
NECとFiNC社内で特定保健指導対象者からモニターとして50~100名程度を選出し、両社共同で同ソリューションの実証実験を2017年6月から6か月間行う。本人の同意を得た上で、「FiNC for Business」を使った食事改善等のアドバイスの提供や、BMI値(肥満度を示す体格指数)等の数値の改善度を測定し、AI技術で導き出した改善度の予測モデルとの関係性を見出す。また、AI技術による生活習慣病の発症リスク予測および生活習慣病予備群の予測結果から、効果の期待できるモニターの選出を行う。 - ウェルネス・ソリューションの共同マーケティングを実施
ウェルネス・ソリューションを「FiNC for Business」の導入企業や、NECの顧客企業を中心に、共同提案、セミナーの共催、各種プロモーションなどの共同マーケティングを行う。また、今後両社は企業内だけではなく、全国の医療機関と連携した予後(退院後の治療・療養、等)のフォローや自治体と連携した地域医療連携へのウェルネス・ソリューションの展開を進めるとともに、両社のさまざまなノウハウやテクノロジー、データ等を組み合わせたヘルスケア分野における新たな価値を提案していく。
両社は共同で同ソリューションを用いた実証実験を行うことで、活用ノウハウを蓄積し、今後のソリューション強化や事業化につなげていくという。また、NECは同取り組みを通じて健康経営を一層加速させ、生産性向上に加え、「健康経営優良法人(健康経営銘柄)」(注2)として選出されることを目指すとしている。
(注1)法人向けウェルネスサービス「FiNC for Business」:FiNCの提供する法人向けウェルネスサービスとして、企業の従業員満足度の向上やリスクマネジメントを目的とし、月額約500円/人で2014年から提供されているサービス。
(注2)健康経営優良法人(健康経営銘柄):
経済産業省と東京証券取引所が共同で東京証券取引所の上場会社の中から「健康経営」に優れた企業を選定し、長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介をすることを通じ、企業による「健康経営」の取組を促進することを目指す取り組み
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
・フィンク(FiNC)
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