株式会社コヴィアは、LoRaを活用した病院内の温湿度の一元管理システムの実証実験を、福井大学医学部附属病院と共同で実施すると発表した。
病院内における温湿度管理は、ダニやカビの発生を予防するだけではなく、感染症の予防や対策、医療機器や医薬品の品質管理など、安全な医療や看護の実現のために重要であり、その管理には精密性が求められる。
しかし現状、多くの病院ではアナログ温湿度計を設置して巡回管理をしたり、空調レベルでの温度調節に留まっている。また、従来品のネットワーク対応型温湿度センサーは高額なソリューションが多く、さらには既存の院内ネットワークを活用することが困難、専用にアクセスポイントの追加が必要であるなど、導入の敷居が高いものだった。
福井大学医学部附属病院新病棟の4階ナースステーションにLoRaゲートウェイ(MVNOのデータ通信SIMを搭載)を1基設置。その1基で、1階から7階までの全棟(院内全域)に設置したセンサーへ電波が到達すること、AWSに構築されたクラウドサーバーで1分に1回データ収集する際の受信感度及びデータ転送の可否を確認した。
なお、センサーは温湿度以外にも一酸化炭素、二酸化炭素、PM2.5の計測も可能であり、同社は医療・介護施設での環境管理・感染管理・医療用ガスの漏洩管理など活用範囲の拡大を検討しているという。
またLoRa対応GPSトラッカーの開発も進めており、患者の見守りや介護用途を想定したSOS、位置情報取得に関する実験を計画。あわせて屋内に設置したゲートウェイと屋外用ゲートウェイ(IP67対応)において、それぞれの屋外における通信範囲、電波到達距離の差を測定し、安定的で実用性の高いシステム構成を検証していくという。
【関連リンク】
・コヴィア(Covia)
・福井大学医学部付属病院(University of Fukui Hospital)
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。