マイクロソフトは、MWC2019バルセロナでHoloLens2を発表した。
話題性もあるからか、ブースでは体験行列ができていた。ブースでは、医療、工場など複数のシーンでの体験が提供されていて、HoloLens2の汎用性が伺える。
HoloLens2は初代に比べて、視野角や解像度、視点や眼のトラッキング、手の動きのトラッキングなど様々なアップデートが実現されている。このリアルな自分自身の動きを認識し、情報の表示やアプリケーションの操作ができる。
実際にHoloLens2を着用してみると、XRの可能性が一気に広がると感じた。音声も映像も自身を中心に360°で展開されるだけでなく、距離もデザインされているので、リアルとの違和感が非常に少なかった。

デモではHoloLans2のディスプレイに電話着信が表示され、応答すると、そこに会話の相手が映り、オペレーションの説明が始まるというものだ。
その会話の画面は摘まんで横に動かして固定し、視界を確保した上で正面の機器操作に移ることができる。この時、電話の画面は私の後方にあり、そこから声がずっと聞こえている状態になる。

操作は、機器のボタンの上に重なるように矢印などが表示される仕組みだ。
物理的なボタンに触れる前に、HoloLens2のディスプレイに表示されている矢印に触れることができるため、正しい操作をしようとしているかが物理操作の前にわかるという仕組みだった。
後ろから声をかけられて、「こっちだよ」ということを気付かせてくれて、そこにホログラムでアクションを指示する、といったようなことが可能となる。
このデモンストレーションから、機器の操作においては、正しい操作を促すことはもちろんだが、間違った操作や危険を未然に防ぐことも可能になることがわかる。
このような物理環境との連動が、断続的に維持できるようになると、今後の様々なオペレーションが変わっていくだろう。
まず、最初のレクチャーが不要となり、初心者でも新しい操作が簡単にできるようになることが想像できる。

またブースではもう一つの新製品「Azure Kinect DK」も展示されていた。こちらは人の動きや表情を簡単に認識できるものだ。
カメラによる人の動きの認識が高速であることはもちろんだが、Azure AIとの連携で表情の読み取りや、危険予測などもできるという。人が意識的な操作をせずに、必要な時だけフィードバックが得られる用途での活用が進むだろう。
HoloLens2やAzure Kinect DKの価値は、何かの熟練者やデジタルに詳しい人の利用ではなく、まったくそういった領域に明るくない人も使えることにあるといえる。
装着するだけで、何をすればいいかがわかる、指示を受けて、スムーズに行動ができる。テクノロジーを意識せず、行動が変わっていく、人のできることが増えていく、こういったことが、テクノロジー活用の本質になるのではないか。
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未来事業創研 Founder
立教大学理学部数学科にて確率論・統計学及びインターネットの研究に取り組み、1997年NTT移動通信網(現NTTドコモ)入社。非音声通信の普及を目的としたアプリケーション及び商品開発後、モバイルビジネスコンサルティングに従事。
2009年株式会社電通に中途入社。携帯電話業界の動向を探る独自調査を定期的に実施し、業界並びに生活者インサイト開発業務に従事。クライアントの戦略プランニング策定をはじめ、新ビジネス開発、コンサルティング業務等に携わる。著書に「スマホマーケティング」(日本経済新聞出版社)がある。