コロナ禍をきっかけのひとつとして、生活者の価値観や購買行動の変化が加速している。そのなかで、リアルとデジタルの場で、生活者と流通・小売業のコミュニケーションをシームレスにつなぎ、生活者一人ひとりに最適なタイミングで最適な情報を届けることが求められている。
大日本印刷株式会社(以下、DNP)は、VR技術を用いて、バーチャルキャラクターが店舗やイベント会場などで接客やデモンストレーションを行う「DNPバーチャル接客サービス」に、新たに人の顔などの動きを読み取るフェイストラッキング機能とオンラインで決済できるライブコマース機能を搭載してサービスを拡張した。
同サービスは、販売員が遠隔地のオフィスや自宅などから、バーチャルキャラクターを自分の動きと同期(シンクロ)させて操作し、店舗等でディスプレーを見る顧客に商品紹介やデモンストレーションなどの接客を行う。このような非接触の接客が可能で、キャラクターや演出等でエンターテイメント性を持たせることにより、新たな体験価値を提供する。
今回追加した機能は以下の通り。
- フェイストラッキング機能
- ライブコマース機能
従来はVRゴーグルとコントローラーを装着してキャラクターを操作していたが、株式会社キッズプレートとの連携により、カメラで人の表情を読み取るフェイストラッキングとキーボードによる操作だけで、人とキャラクターの動きをシンクロさせることが可能になった。これにより、操作が容易になり接客業務が効率化するほか、接客と同時に記録の記入等ができるため、課題抽出や顧客分析の強化につながる。
従来は決済機能と連動していなかったため、接客された顧客が商品を購入する場合、画面を切り替えてECサイトに移動したり、リアルなレジに移動したりして購入手続きを行う必要があった。
この課題に対してDNPは、2021年3月に株式会社ギブリーと連携し、同社が提供するライブコマース「Virtual Store」を用いることで、オンライン接客を行いながら顧客は商品・サービスの選択や購入・申込みまで一元的に行えるようにした。また、顧客は事前に接客を受ける日時を予約することができる。
販売員は自身の顔、またはキャラクターで接客することが可能で、「店内をビデオカメラで映し商品を見せる」「Webサイト画面を共有してサービス資料を見せる」など、販売員の多様な提案活動が可能だ。これに対し、顧客は画面に映る商品・サービスを確認しながら「もっと詳しく見せて」「サンプルがほしい」と要望することができる。
さらに、4月以降EC機能との連動により、接客と同時に購入・申込みまでワンストップで行うことができる。
同サービスが拡張されたことにより、コロナ禍で需要が高まるオンライン接客の質の向上と業務効率化を支援するとともに、障がいがあって移動が困難な人でも遠隔地から接客できるなど、多様な人材の雇用機会の創出に貢献する。
今回、プライドハウス東京が運営するLGBTQセンター「プラウドハウス東京レガシー」において、受付や窓口業務に同サービスが導入されており、新たな自身の表現方法として活用されている。
今後DNPは、同サービスの関連で2023年度までに3億円の売り上げを目指すとしている。
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