CES2023のソニーブースというと、ホンダとつくるEV車「AFEELA」の話題で持ちきりだった。その内容は別記事で紹介しているが、ブース全体としては、クルマだけが展示されていたわけではない。
超小型人工衛星「EYE」で宇宙空間からの撮影
まず、大きな発表として、宇宙空間を撮影できる超小型人工衛星「EYE」が軌道上での通信確立に成功したということだ。
トップ画は実際に展示されていたもので、実寸大の模型ということだが、思った以上に小さい。
JAXAの協力のもと、東京大学とともに開発した、カメラを搭載し宇宙空間からの撮影を実現する超小型人工衛星「EYE」が衛星軌道に放出後、地上局との通信を確立することに成功している。
2023年春頃、一般向けにEYEによる宇宙からの撮影体験ができるようになるということなので、ぜひ体験してみたいものだ。
小型モーションキャプチャ「mocopi」
昨年末、話題となった「mocopi」の実機とデモが行われていた。
実際に持ってみるとかなり小型、軽量化されていて、体に固定するバンドと本体も簡単に着脱できるという仕組みになっていた。
会場の通信環境では、反応が悪そうなシーンも見られたが、実際はもっとスムーズに動きを仮想空間上で再現できるということだ。
上の映像で、動いている男性は、仮想空間では奥のピンクのTシャツを着ている女性の動きを実現している。跪いている場面の再現性も高いと感じた。
VRゲームなどで、仮想空間の中を動きながらクリアするような演出が簡単に実現できそうだ。
自由視点の映像をリアルタイムに再現する、ホークアイの技術
カタールW杯でも、VARという映像判定技術が話題となったが、ソニーの子会社である、ホークアイの展示では、実際のサッカーのプレイを多視点で捉え、コンピュータグラフィックスにおこし、ゲームなどに利用しているというデモが展示されていた。
そして、会場に設置された複数台のカメラの映像を瞬時にコンピュータグラフィックスとして提示する体験ができた。
個人的には、実際にみるのは初めてで、男性の映像を会場内の複数のカメラで捉えて、右側のディスプレイ上にCGが再現されている。
そして、男性が動くと、瞬時にその動きが再現されているのがわかるだろう。
27インチ空間再現ディスプレイ
このディスプレイは、以前15.6インチのディスプレイで登場していたもので、大型化されたものが展示されていた。
ディスプレイを正面からみると、その空間上に立体的に物体が浮かび上がるという技術だが、カメラで人物の目の位置を特定して表示しているので、横から見た場合や大型化は難しいのではないかと思われていた。
しかし、今回の展示で27インチと大幅にサイズアップしていた。この点について、担当者によると50インチも可能ではないかということだった。
ビジュアライゼーションがテーマ
ソニーのブースは、この他にも映像撮影機器の展示やPlayStation VR2の展示などもあった。
展示を見ていると、今あるものをパラパラと展示しているようにも見えるが、実は「ビジュアライゼーションの可能性」を訴えかけていたのだ。
センサーやカメラで、映像や音声として、撮影するための機材から始まり、撮影した映像を処理するソリューション、そして、処理した映像を楽しむための体験づくり、アウトプットとしてのゲームやクルマ、ディスプレイなど、これらを一貫して提供できるのがソニーの強みだ。
特に、今後いろんな形でメタバース空間を、我々の体験に取り込むことが重要となる。
もともと強かった、カメラなどのセンサー技術に加え、アウトプットとしての体験をどう設計するか、設計した体験をどうやって実現するか、こういったことを総合的にプロデュース・実行できることが将来の強みにつながっていると感じた。
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。