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仮想現実(virtual reality, VR)は画像、音、他の感覚を使い現実の再現、あるいは架空空間を作り出す技術である。観察者はVRヘッドセットをつけ、VR世界をリアルで没入感のある環境として体験する。VRヘッドセットは頭に装着されるゴーグルであり、目の前の画面はデジタルスクリーンになっている。
VR製品開発を進めている企業数が200社を超えているが、エコシステムの構築が始まったばかりで、現在ハードウェアやソフトウェアの基準は定めてない。
VRハードウェアの好調な売り上げは市場拡大に大きく貢献し、エコシステム作りを後押ししている。
ビデオゲームを始め、VR技術はマーケティング、訓練や医療分野で積極的に採用されている。
この2か月間、様々な企業がVR技術を使って、新しい商品やサービスを開発や提供をし始めた。
サムスン(Gearカメラ)、Insta360、giroptic IO、Ricohなど、360°で撮影できるVRカメラを提供している企業がだんだん増えており、360°のビデオストリーミングサービスを提供している企業も現れている。
人間がVRを現実かのように感じるため、いくつかの企業がVRの共感させる力を使った。
3月に国際環境保護団体グリーンピースは環境に関する活動を促進するために、自分のVRアプリを公開した。
同じく、英スタートアップFountain Digital Labsは独自のVirry VRプラットホームを使って、Playstation VRでサファリサービスを提供している。
グーグル、2月にChromeブラウザーに追加したWebVRは4月からCardboardヘッドセットに対応するようになった。現在1000万人以上がグーグルのCardboardヘッドセットを使用しているため、この動きはWebVRプラットホームをより広いオーディンスに紹介できる。
WebVRはグーグルのVR実験プラットホームであり、誰でも簡単にVRを体験できるために展開された。また、WebVRはすべてのブラウザーに対応しているため、開発者にとって様々なデバイスからアクセスするユーザーに新しい商品の開発・紹介するのは楽になった。
WebVRは現在Daydream、Cardboardヘッドセットや、2Dでスマートフォンやパソコンで利用可能である。将来に、他社のヘッドセットにも対応可能になるという。
4月にグーグルは独自のVRヘッドセットに対応している「Speak to Go」という音声ナビゲーションサービスを開始した。住所を音声入力すると、ストリート・ビューデータがある場合、その場所をVRで体験できるという。このアプリをヘッドセットがなくても2Dで使えるという。
大手旅行・ホテル予約サービスを提供しているExpediaがシンガポールで部屋予約にVRサービスのデモを実施した。
同サービスが予約中にVRで部屋を体験できる仕組みになっているため、顧客満足度を向上するために導入された。これからVRの普及はホテル予約サービスにも変化を及ぼすかもしれない。
最近VRはもともとメインだったゲーム分野以外にも人気を集め、普及しているため、これから用途分野が広がっていくだろう。
また、VR技術の標準化を目指すGlobal Virtual Reality Association (GVRA、グローバル仮想現実連合)という専門組織やグーグルのような大手企業がエコシステム作りを促進させている。
フェイスブックのVRとAR発表
フェイスブックがF8というソフトウェア・デベロッパー向けの年次カンファレンスにてVRとARに関する様々な商品やサービスを発表した。
同社がReactVRというフレームワークを公開し、JavaScriptのみを使用しVR経験の開発を可能にした。このように開発されたアプリは直接ウェブの上で保存され、ウェブから直接にアクセスができるため、別のソフトウェアは不要だ。
続いて、同社がOculus Riftヘッドセット 用SpacesというソーシャルVRアプリを公開した。アプリを使うには、アプリのβ版をOculus Storeからダウンロードし、RiftヘッドセットやRift Touch コントローラが必要だ。
同アプリがフェイスブックに繋がっているため、自分のVRアバターをファイスブックにアプロードされているプロフィール写真のベースに作成された画像から選べる。Spacesの遊び方としては、フェイスブックの友達と一緒にVR空間を体験したり、3D アートを作成したり、アバターのセルフィを撮影と実際のフェイスブックプロフィールで共有することができる。将来に、Riftヘッドセットだけでなく、様々なプラットホームからSpacesを使えるようになるという。
また、フェイスブックのVRデベロッパーが個人のVR体験を共有するためcube mappingという新しい過程を導入し、VR体験を簡単に取り込み、高質な映像のままで共有を可能にするツールキットを開発した。cube mappingによって4Kビデオストリーミングと同様レベルの動画質を維持できる。フェイスブックはF8でこのツールを360 Capture SDKの一部として公開した。
新しい仕組みで最終的なアウトプットが直接ゲームエンジンから取り込まれ、VRヘッドセットで再生する場合でも、フェイスブックのモバイルアプリで360動画として鑑賞する時でもスムーズな経験を確保している。本ソフトウェア開発キットがUnityとUnrealゲームエンジンを使っているすべてのVRアプリで運用可能である。
また、360°動画鑑賞経験を向上するため、フェイスブックが機械学習を使う。ユーザーが次どこへ見るかを予測し、その部分を優先にレンダリングすることで、同時にレンダリングが必要なピクセル数を削減できる。特に、インターネットスピードや質が低いユーザーに役立つという。
フェイスブックが数多くのクリエイターが本格的な没入的体験の作成を可能にするため、VRハードウェアの面で新しい360°カメラの2種類を紹介した。x24とx6と呼ばれるカメラがそれぞれ24個と6個のカメラが組み込まれ、6自由度でビデオ撮影するため、従来の360°動画より没入的体験になると期待されている。現時点で同カメラはプロのコンテンツクリエイター向けの商品として扱われている。
しかし、フェイスブック自体はカメラを販売する計画がなく、その代わりに同カメラデザインを選択された商業パートナーのグループにライセンスする予定である。
従来のカメラと違うのは、カメラがユーザーの動きに合わせて、その角度から動画を再生できることだ。これは実現可能になったのはカメラの入念設計やフェイスブックによって開発されたソフトウェアのおかげである。さらに、6自由度で撮影された動画の各ピクセルは奥行きがあることで、様々なビジュアル・エフェクトの追加と修正が考えられる。
AR分野では、フェイスブックがカメラを初のARプラットホームにする計画を発表し、Camera Effectsプラットホームを公開した。カメラで撮った映像に様々なフィルターや効果を追加できるだけではなく、将来に所在地とその状況に関連するフィルターがユーザーや社外デベロッパーによって開発され、正にその場に合わせたソーシャルメディアツールになると期待されている。
現在、プログラミングができなくても、ユーザーがFrame Studioを使って、シンプルな重畳静止画フィルターをアップロードすれば、そのフィルターがユーザーの友達とフォロワーに表示される。フィルターの作成者名はフレームプレビューで表示される。
開発者がプラットホームのAR Studioツールのプライベートベータ版に応募してアクセスを取得できる。AR画像開発に同ツールを使えば、正確な位置、物体認識や奥行検出という機能を手に入れられる。
Camera Effectsプラットホームが将来にARグラスなどのARハードウェアに対応できるように開発された。
Global virtual reality association
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IoTNEWS代表
1973年生まれ。株式会社アールジーン代表取締役。
フジテレビ Live News α コメンテーター。J-WAVE TOKYO MORNING RADIO 記事解説。など。
大阪大学でニューロコンピューティングを学び、アクセンチュアなどのグローバルコンサルティングファームより現職。
著書に、「2時間でわかる図解IoTビジネス入門(あさ出版)」「顧客ともっとつながる(日経BP)」、YouTubeチャンネルに「小泉耕二の未来大学」がある。