【概要】
■2021年のAR/VRヘッドセット世界出荷台数は合計8,120万台と予測
■2017年~2021年のAR/VRヘッドセット世界出荷台数の年間平均成長率は56.1%の高成長と推定
■日本国内の2021年予測合計出荷台数は104.2万台、年間平均成長率は30.6%と世界に見劣り
IDC Japanの調査によると、2017年にはAR/VR合計で1,370万台弱であったヘッドセットの出荷台数は、2021年には8,120万台強に成長すると見込まれ、2017年~2021年の年平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は56.1%の高成長が期待されている。
IDC Mobile Device Tracker等でシニアリサーチアナリストを務めるジテシュ・ウブラニ氏は次のように述べている。
「今のところ、ARヘッドセットの出荷はAR/VR市場のごく一部を占めるに過ぎないが、今後5年間で質・量共に成長が期待される。
2021年、ARヘッドセットの出荷金額は300億ドルに達すると我々は予測している。これはVRのそれの2倍に達する規模だが、ARヘッドセットの初期採用者がビジネスユーザーであり、ヘッドセット一台あたりの単価も高いためである。
また他方、AppleのAR KitとGoogleのAR Core対応アプリがコンシューマー向けのヘッドセットに採用されるのは時間の問題だと思われるものの、大半のコンシューマーはモバイルデバイスでARを体験することになるだろう」
ARヘッドセットはビジネスの現場やコンシューマーのコンピューター利用方法に強いインパクトを与え、長期的な成長が見込まれている。また、VRヘッドセットはARより早い時期に、コンピューター利用方法の転換を促すことになるとのことだ。
ほとんどの主要ヘッドセットが最近値下げを行ったことや、11月以降登場する多くの新製品は2017年後半の市場成長の牽引役となり、年初からの成長の遅れを取り戻すことになるとみられる。
また、PCやゲーム機とヘッドセットをケーブルで接続するケーブル型がシェアを伸ばす中でも、Samsungの「Gear VR」のようなスクリーンレス型ビューワーは今後も5割以上のシェアを維持するものとみられ、ケーブルを必要としてないスタンドアロン型のヘッドセットは2022年以降にシェアを獲得するとIDCは予測している。
AR/VRおよび各種デバイスのプログラムバイスプレジデントであるトム・マイネリ氏は次のように述べている。
「VRは2017年、非現実的ともいうべき成長期待に苦しんでいたが、市場全体としては現実的で合理的なペースでの成長を続けており、Microsoftとパートナーベンダーから発売されるWindows Mixed Reality Headsetの新製品は、2017年第4四半期(10~12月)にさらなる市場の成長をもたらすことになるだろう。
2018年に向けては、大手ベンダーからスタンドアロン型のヘッドセットが登場することもあり、新たなビジネスの形やトレーニング手段を可能にするこのテクノロジーを手にする企業の数が一層増加することを我々は期待している」
日本国内のAR/VRヘッドセットの出荷予測については、2017年は36万台、そして2021年は104.3万台となった。ARヘッドセットはビジネス利用を中心に2021年は8万台の出荷と予測されており、2017年~2021年のCAGRは63.7%が見込まれている。
また、VRヘッドセットはコンシューマーの利用が今後も堅調で、2021年は96万台の出荷と予測され、2017年~2021年のCAGRは29.0%と見込まれている。
IDC Japan PC,携帯端末&クライアントソリューションのシニアマーケットアナリストである菅原啓氏は次のように述べている。
「日本でも最近はVRを中心に各種ビジネス活用の話題も広まりつつあり、特にVR市場は本格的な立ち上がりを迎えようとしている。ARに関しても、スマートフォンを利用した活用事例は徐々に増加しており、ヘッドセットへの応用展開が離陸する日も近いと期待される。
だが、ヘッドセット市場の成長速度はAR、VR共に世界に比べ見劣りしており、AR/VR体験の裾野を広げることでさらなる市場拡大のための素地を均していくことが今こそ必要であると言える」
<参考資料>


【関連リンク】
・IDC Japan
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技術・科学系ライター。修士(応用化学)。石油メーカー勤務を経て、2017年よりライターとして活動。科学雑誌などにも寄稿している。