11月28日(土)、錦織圭をはじめとする豪華メンバーが東京・有明コロシアムに集結し、エキシビションマッチ「日清食品ドリームテニスARIAKE」が行われた。
そして、このエキシビジョンマッチを360°カメラで撮影した映像が、現地・有明コロシアム内WOWOW特設ブース、nicofarre(ニコファーレ)、携帯端末、ニコニコ生放送へ生配信された。
有明コロシアム内のWOWOW特設ブースとnicofarreではサムスンのヘッドマウントディスプレイ、Gear VRを装着することで、観客席ともオンエアとも異なる映像体験ができるということで、IoTNEWSはnicofarreへ取材へ行ってきた。
テニス好き100人がGear VRをつけて、リアルタイムで360°体験!
試合開始直前に、テニス好きを応援するために集まった100名を会場で盛り上げたのは、ビビる大木や松岡修造ものまね芸人こにわ。
この人数でGear VRを装着し、リアルタイム視聴イベントが開催されたのはおそらく日本でははじめてではないかということで、本番中になかなか映像が見られないなどのハプニングがあったが、試合が始まるころには参加者もGear VRに慣れてきた様子だった。
参加者がGear VRで困ったことがあり手を挙げると、ボールボーイ&ボールガールならぬ、ギャラクシーボーイ&ギャラクシーガールが即座に対応をしてくれるという演出もにくかった。
試合がはじまると、ビビる大木からアナウンサー佐藤哲也へ司会をバトンタッチした。Gear VRは装着していない間は映像が流れないため、身につけてすぐは画面がまっ黒な状態だ。頭に装着したことをセンサーが感知した段階で、一呼吸おいて映像が流れるため、「少し待ちましょう」というアナウンスを流した。
360°映像体験レポート
IoTNEWSもGear VRを装着し、錦織圭とチリッチの試合を体験したのでレポートする。
有明の会場に設置された360°撮影用カメラは、下記図のように審判の対面だ。
カメラの位置が、Gear VRを装着した時の視点の起点となる。
Gear VRにはGalaxy S6またはGalaxy S6 edgeをセットし、映像や画像を見るためにアプリが必要になる。今回はこのパブリックビューイング用に開発されたアプリ「idoga Live」が使用された。
Gear VRを装着して映像を見ると、目の前にはセンターネットがあり、左右に首をふると錦織圭とチリッチがその場にいるので、カメラが設置された場所に自分が立っているような感覚が味わえる。360°カメラなので、後ろを振り向くとボールボーイが立っていて、その後ろには観客席がある。
実際に試合を観戦すると、錦織とチリッチ両方が見られるほどの視野ではないため、かなり大きく首を振らないとボールを追うことができず、ずっと見ていると疲れてしまう。そこで、このアプリを開発した、株式会社クロスデバイス 代表取締役 クリエイティブディレクターの早川 達典氏にその点を聞いてみたところ、カメラの位置は試行錯誤したという。
もう少しセンターネットから離せば、視野は広くなるものの、せっかくライブで見られる選手の位置が遠くなってしまう。そのため、できるだけ近くで見ることができるよう、センターネットの近くに配置したそうだ。没入感が体験できるGear VRでは、選手に近い場所に立っているような感覚を味わえるのがひとつの醍醐味なのだ。
もちろん、その視野の範囲についてはきちんと考慮されており、今回専用のアプリ「idoga Live」では、正面の上部に大きな仮想モニターが設置されていたため、その仮想モニターで試合を見ることもできた。Gear VRをつけて、左右の選手を近くで見ることも、正面の大きな仮想モニターで見ることもできるというわけだ。Gear VR内の映像を写真におさめることができないので、説明が難しいのだが、イメージは沸くだろうか。
nicofarreの巨大スクリーンでも試合が放映されているため、試合中はGear VRをつけたり外したりして観戦をしている人が多かった。
nicofarreのスクリーンで放映される実際の映像と、Gear VRに配信される映像は少しタイムラグがあるが、極端に遅いという事はなかったし、ほぼリアルタイムという場面もあった。ひとつ惜しかった点をあげると、映像の画質が荒い状態だったという点だ。理由は、有明の会場からnicofarreまでは綺麗なままの映像が届いているが、そこからイベント会場にいる100名に配信するためにデータ量を落としているからだという。360°のデータは大容量でまだ圧縮技術の課題があり今回のイベントには間に合わなかったが、今後は改善していくそうだ。
技術はまだ改善の余地があるものの、通常であれば観客が立ち入れない場所に立って、試合観戦ができるという没入体験はスポーツ観戦の新しい楽しみ方を切り開いたと思う。
以前IoTNEWSがSamsungにインタビューを実施したのが8月。その際に「今後テニスの試合などもリアルタイムで見られるかもしれない」と聞いていた事がこんなに早く実現され、技術進歩のスピード感を感じられずにはいられない。2020年の東京オリンピックをGear VRで体感できるのも現実味を帯びてきたと感じた。
【関連リンク】
・360°バーチャルリアリティのすごさは体験しないとわからない!-Samsung Gear VR インタビュー
・「日清食品ドリームテニスARIAKE」
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