IoTと聞いたとき、現状で多くの人が思い浮かべるのは製造現場の可視化などといったケースではないだろうか。
しかし実際には、新たなサービスの創出、あるいは経営/ビジネス課題の解決といった大きなメリットを実現できる可能性がある。
事実、海外の先進的な企業はIoTに積極的に取り組むことで革新的なサービスの創出や経営効率の向上などさまざまなメリットを導き出している。
こうした動きに乗り遅れれば、企業の存続にも影響しかねない。競合他社に先行し、グローバル企業と対等に渡り合うためにも早急に取り組むべきだ。
先行する海外のIoT活用事例
ビジネスの世界におけるIoTへの注目度は極めて高く、日本でも多くの企業が活用に向けた取り組みを進めている。ただ現場レベルでの改善に留まることが多い日本に対し、海外の先進的な企業ではビジネスを大きく変革するためのツールとしてIoTを積極的に活用している。
その一例として挙げられるのが、IoTで得られた情報を経営判断にも活用しようとする動きだ。仮に売上が悪化した際、その原因が製造装置の不具合による歩留まりの悪化だということを経営層が見るダッシュボードから分析することができれば、経営判断の精度をより高められるだろう。
新たなビジネスの創出を目的にIoTを利用する事例も続々と現れている。たとえばGEでは、自社で製造する航空機のエンジンに多数のセンサーを組み込み、リアルタイムにモニタリングできる仕組みを構築し、予防保全や燃料消費量の削減に向けた付加価値を差別化ポイントにしている。さらにはそこで得られたノウハウ自体を航空会社に「運用コスト削減サービス」として提供している。つまり、エンジン販売と保守サービスという旧来のビジネスから、(保守を含めた)エンジンの稼働時間の保証とトータルなコスト削減ノウハウをサービスとして提供するというビジネスモデルに転換したということだ。
ここで使われているのは物理的な事象をリアルタイムにデジタルで再現する「デジタルツイン」と呼ばれる技術である。これによって飛行中のエンジンの状況をきめ細かく監視し、不具合の予兆を検知し、物によっては3Dプリント技術も駆使しながら、最短でメンテナンス部品を用意して整備全体に要する時間を短縮する、あるいは燃料消費量を削減して利益率を高めるといったメリットを生み出している。
このような現場に至るまでの一気通貫の可視化、あるいは新たなサービスの創造など、IoTを活用したイノベーションを実現する上で大きなポイントとなるのが、フロントからバックオフィスまでデータをつなげられる仕組みの実現である。現場を可視化して経営判断に活かすのであれば、データをバックオフィスまでつなげられる環境を構築しなければならない。仮にある製品の製造において標準時間よりも作業が長かったとしよう。IoTはその原因を分析するのに役立つだけでなく、そのデータをバックオフィス側につなげることにより、原価や売価、利益率への影響を把握できるようになる。これにより、経営視点でも現場の課題を把握し、適切なアクションを実施できるようになるわけだ。
IoTで得られたデータをサービスとして提供するといったケースでも、バックオフィスとの連携は欠かせない。IoTセンサーから情報を取得するフロント側のシステムと、受発注や会計を管理するためのバックオフィス側のシステムが連係し、データ量に応じた課金などを実現する必要があるためだ。
グローバル全体を見渡すと、すでに多くの企業がこのようにIoTを活用し、ビジネスのさらなる効率化や新たなサービスの創造に踏み出している。このような動きに乗り遅れれば、海外市場で大きな差を付けられるだけでなく、日本市場のシェアを奪われることにもなりかねない。このような状況に陥り、市場からの退場を余儀なくされる前に手を打つべきだ。
つねに最新のファンクションが使えるOracle ERP Cloud
それでは、IoTをビジネスの中に取り組み、それによって競争優位を生み出すためには何をすべきだろうか。IoTのような最新のテクノロジーを積極的に活用したいと考えるのであれば、新たな変化や革新を受け止めやすい、標準化された基盤としてERPをはじめとするバックオフィスを整備しなければならない。しかし現実には、バックオフィスで使われているERPなどのシステムが古く、最新のテクノロジーを採り入れることが難しいといったケースが多い。
実際、日本企業では10年以上前の基幹システムを利用している割合が極めて高い。2015年にオラクルが調査した結果では、10~20年以上前のシステムを利用していると回答した企業の割合は39.1%、20年以上前のものという回答も20.4%に達している。これでは、IoTをはじめとする最新のテクノロジーに対応することは難しい。
このようなバックオフィスにおける現状の課題を解決し、IoTをはじめとする最新のテクノロジーの積極的な活用を可能とするERPパッケージとして、オラクルで提供しているのが「Oracle ERP Cloud」である。
Oracle ERP Cloudで大きな特長となっているのは、名称のとおりクラウドサービスとして提供されている点である。多くのクラウドサービスと同様、短いサイクルでバージョンアップが行われ、つねに最新のテクノロジーを利用できる状態が維持される。最新のビジネスや業務プロセスに対応したファンクションも積極的に取り込まれるため、IoTをはじめとした新たなトレンドを容易に事業に活かすことができる。
具体的には、Oracle ERP Cloudではおおよそ四半期に1度のタイミングでアップデートが実施されている。このため、世の中の流れが急に変わったとしても、そこで必要となるファンクションがすぐに提供されるため迅速に対応できる。
逆に古いERPを使っていた場合、IoTなどの新たな技術が登場したとしても必要なファクションが提供されていないため、アドオンで独自に開発することになるだろう。しかしアドオンはERP本体のバージョンアップにおける足かせとなることが多い。時代に追いつこうと多くのファンクションをアドオンで実現すれば、それだけERPのバージョンアップが難しくなるという悪循環に陥るわけだ。
実はユーザーが意識することなくバージョンアップや機能強化が行われる仕組みは、コンシューマの世界では広く浸透している。自動的にバージョンアップが行われるスマートフォンやタブレット端末向けのアプリなどは、その最たる例である。ビジネスITの世界においても、このような仕組みを積極的に採り入れるべきであり、それを実現したERPパッケージがOracle ERP Cloudだ。
迅速に展開できることも、クラウドサービスとして提供されているOracle ERP Cloudならではのメリットだ。特に技術が急速に進化する現状を考えると、すばやく展開できることのメリットは極めて大きい。グローバル全体で利用できることも大きなアドバンテージであり、それぞれの拠点のデータを集約することで現状をリアルタイムに把握することが可能になるほか、それによって精度の高い判断も実現できるだろう。
IoTからブロックチェーン、AIまでカバーするオラクルのクラウド
オラクルでは、IoTをビジネスで活用するためのクラウドサービスも提供している。まず機器のシステムへの接続をサポートする「Oracle IoT Cloud」で、これはIoTデバイスの管理や接続/分析/他システム連携の機能を提供するサービスである。さらに高度なデータ分析ニーズに対してはデータ・クラウド・サービス、さらにはAIを利搭載したクラウドサービスも用意されている。
予めIoTの可視化をパッケージ化して提供されているものが「Oracle IoT Application Cloud」だ。こちらはIoTデバイスから取得したデータを利用し、設備や工場、あるいは製品の輸送などに使う車両の可視化に必要なダッシュボードなどが予め用意されており、導入してすぐに使いはじめることを可能にした。そして見逃せないのは、こうしたデータを業務の最適化を果たす上で重要な役割を担う、Oracle ERP Cloudに連携できる点だ。こうしてIoTデータをERPに取り込み、経営に活かせる仕組みをオラクルではトータルで提供しているのだ。
Oracle ERP Cloudは広範囲の業務プロセスをカバーし、フロントからバックオフィスへのデータ連携もサポートする。これによってプロセス全体の可視化やシームレスな連携が可能になる。これにOracle IoT CloudおよびOracle IoT Application Cloudを組み合わせれば、プロセス全体の統合管理やフロントとバックオフィス間でのデータ連携まで視野に入るほか、AIを組み合わせた自動化や高効率化も果たせる。
ここまでトータルで実現できるソリューションを提供しているのはオラクルだけだ。
さらにオラクルでは、ブロックチェーンやAIに対する取り組みも加速させている。可視化の範囲を自社のビジネスや製造工程だけでなく、サプライチェーン全体に拡大したいと考えたとき、セキュアかつ改ざんできない形で情報を共有できるブロックチェーンは有効な技術となる。
こうしてIoTやブロックチェーンの活用によって可視化できる範囲が広がる、つまりデータが増えれば増えるほどAIの利用価値は高まっていく。製造や購買、調達、物流など、個々のプロセスをバラバラに捉えていてはビジネス全体での最適解を見つけ出すことはできない。IoTやブロックチェーンといった技術を使い、それぞれのプロセスのデータを取得して収集し、それにAIを掛け合わせることで大きな価値が生まれるわけだ。
AIサービスはすでにいくつかのベンダーで提供されているが、それらの多くはユーザー自身でAIに学習させることを前提とした用途や分析に必要な定義を行う必要がある、一般的には高度なノウハウを持つデータサイエンティストが必要となる。しかしオラクルでは、シンプルな要件であらかじめビジネスルールを学習させたAIを提供しているため、すぐにでもユーザーがビジネスにAIを活用できる。これが大きな違いである。
このように、オラクルではビジネスに有効なテクノロジーをクラウドサービスとして提供しているほか、同じものをオンプレミスでも利用できる環境を整えている。また、IoTやブロックチェーン、AIにおいてもっとも重要となるのは「データ」であり、当然ながらそれはセキュアに管理されていなければならない。このデータ保護のためのセキュリティの領域はオラクルがもっとも得意としている部分である。
IoTへの取り組みが遅れ、競争優位性を失って淘汰される前に、Oracle ERP CloudおよびOracle IoT Cloudをはじめとするオラクルの各種サービスを積極的に活用し、ビジネスの変革への対応を急いでほしい。
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