ルネサス エレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、Renesas SynergyのS1マイクロコントローラ(MCU)シリーズに、新たにS1JA MCUグループを加え、量産出荷を開始した。
超低消費電力のS1JAグループは、48 MHz Arm Cortex-M23コアを搭載し、高度に設定可能なアナログ機能およびセキュリティ機能を統合することにより、高精度なアナログ計測とアナログ信号整形処理が可能。
S1JAグループは、コストを重視した低消費電力な産業IoT(IIoT)向けの、フロー制御メータ、マルチセンサシステム、計装システム、単相電力量計などのセンサ用途に最適。
S1JAグループには5種類のMCUが含まれており、最大256KBのフラッシュメモリと最大32KBのSRAMメモリ、動作電圧範囲は1.6Vから5.5Vに対応している。
また、外部センサに正確な電力を供給するセンサバイアスユニットに加え、高度に設定可能なアナログ機能を内蔵しており、複雑なアルゴリズムを処理する信号整形処理や、正確なアナログ計測が可能。
オンチップのアナログコンポーネントとしては、高精度の16ビットA/Dコンバータ、24ビットのΔΣ(デルタシグマ)A/Dコンバータ、高速応答の12ビットD/Aコンバータ、レール・ツー・レールの低オフセットオペアンプ、および高速/省電力のコンパレータを搭載している。
S1JAは、基本的機能からより複雑なアナログブロックにいたるまで、高度なアナログ設定を可能にする。この結果、組み込み機器の設計において、複数の外付けアナログ部品が不要となり、部品コストが削減でき、基板サイズも縮小できる。
CTU(Cap Touch Unit)を内蔵しており、静電容量式タッチキーのHMIインタフェースも開発可能。また、S1JAのメモリミラー機能により、ソフトウェアのオーバーヘッドがほとんどなくてもOTA(Over The Air)更新を行える。
S1JAは消費電力が極めて少ないため、バッテリ駆動のポータブル機器やバッテリ・バックアップ用途で電池寿命を延長することができる。
ソフトウェアスタンバイモードは消費電流がわずか500nAと、スリープモードで長時間スタンバイする機器では20年のバッテリ寿命も可能にする。
これに加え、S1JAに内蔵されたAES暗号アクセラレータ、真性乱数生成器(TRNG)、およびメモリ保護ユニットにより、ユーザはクラウドに接続するセキュアなシステムを開発することが可能。
Renesas Synergy Software Package(SSP)は、HAL(Hardware Abstraction Layer)ドライバ、アプリケーションフレームワーク、RTOS(Real Time Operating System)によってS1JA MCUをサポートする。
SSPには、S1JA用に新たなモジュールが含まれ、さらに内部アナログブロック同士の相互接続を簡略化可能なモジュールも追加予定。組み込みシステム設計者は、Renesas Synergy開発環境(e² studioまたはIAR Embedded Workbench)を使って、設計とそのカスタマイズを行うことができる。
Renesas Synergyプラットフォームについて
Renesas Synergyプラットフォームは、動作保証済みで、メンテナンスと完全サポートが提供される、ソフトウェア/ハードウェアを統合した汎用マイコンプラットフォーム。
市場投入までの時間を短縮し、総所有コスト(TCO)を削減し、IoT製品を設計する技術者が直面する障壁を解消する。
Renesas Synergyプラットフォームは、完全に統合されたソフトウェア、開発ツール、およびソフトウェアAPIを介してフルアクセス可能な、幅広いラインアップのスケーラブルなArm Cortex-Mベースのマイクロコントローラで構成される。
前払いのライセンス料もロイヤリティも不要。マイクロコントローラを購入すればすべて無償で使用できる。
パッケージのラインアップについて
S1JA グループのMCU パッケージ
R7FS1JA783A01CFJ 32-pin QFP
R7FS1JA782A01CBT 36-pin BGA
R7FS1JA783A01CNF 40-pin QFN
R7FS1JA783A01CNE 48-pin QFN
R7FS1JA783A01CFM 64-pin LQFP
【関連リンク】
・ルネサス(Renesas)
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