IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、2019年の国内IT市場において鍵となる技術や市場トレンドなど主要10項目を発表した。
IDCでは、昨年12月に発表したPredictionsで、クラウド、モビリティ、ビッグデータ・アナリティクス、ソーシャル技術からなる第3のプラットフォームが「第2章」に入っているという見方を示した。第3のプラットフォームの「第1章」が各技術の試行であったとすると、「第2章」はこれらの技術を活用したビジネスの変革や新規ビジネスの創出、イノベーションの創出、デジタルトランスフォーメーション(DX)の実現を目指したものだという。
企業のDXに向けた取り組みの強化・拡大は、クラウドやビッグデータ・アナリティクスといった第3のプラットフォームの技術、AI、IoTといったイノベーションアクセラレーターに対する支出を拡大させているという。
しかしDXの実現には、進化する技術への対応、人材不足の解消、DXにふさわしいITインフラの構築などさまざまな課題が存在し、こういった課題を克服して、DXを実現に導くためには、デマンドサイド(企業)・サプライサイド(ベンダー)双方が、これまでの成功体験にこだわらず、「自己変革」することが必要になるという。
IDCの国内IT市場Top 10 Predictionsは、サプライサイドに焦点をあてて、DX時代のリーディングベンダーになるためにどのような自己変革を行うべきかがまとめられている。以下が10項目だ。
- 業務の卓越性などDXの現実的な解を求める企業が急増し、「DX先進企業」と共にデジタル関連支出の増加を牽引する。
- 海外で拡大する「働き方の未来(Future of Work)」の実現に向けた取り組みに刺激され、国内でもワークカルチャー、ワークスペース、ワークフォースの三位一体の改革が始動する。
- クラウドの適材適所が助長した複雑化の課題を解決し、DXを推進するCoE(Center of Excellence)の重要性が高まる。
- データのマネタイズ実現に向け、2019年は関係性が複雑化するステークホルダー間でIoTとデータエコシステムの融合が加速する。
- 音声とテキストによる対話型AIがNLPの向上によってエンタープライズに普及し、新たなCX(顧客エクスペリエンス)の付加価値を再定義する。国内のチャットボット利用率が、顧客サポート/サービスの自動化、対話型教育などのデジタルアシスタントなどの目的で上昇している。
- 2020年の東京オリンピック/パラリンピックに向けたセキュリティ人材の不足が深刻化し、AIによる対策の自動化が加速する。
- スマートフォン接続型のAR/VRヘッドセットが複数登場し、軽量化と低コスト化を実現し、ライトユース層を中心にビジネスでの利用が拡大する。
- DX実現を支援するサービスはプロジェクト型から継続/反復支援型へと発展し、「マネージド化」が進行する。
- 国内大手企業におけるDevOpsが本格的に始まり、クラウドネイティブアプリケーションの開発が加速する。
- DXへの取り組みがエンタープライズインフラの高速/大容量テクノロジーの導入を加速する。
IDC Japan リサーチバイスプレジデントの寄藤幸治氏は、「DXに取り組む企業が増えるなかで、その目的、アプローチ、体制などが多様化する。ITサプライヤーは、そういった「DXの在り方の多様性」に対応できるように準備するとともに、自らのDXも新たな段階に進めるように努力すべきである」と述べている。
詳細は、IDC Japanのホームページを参照。
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