AGC、RPAを本格導入し、年間10,000時間分の業務削減へ

企業:

RPA(Robotics Process Automation)の導入が進んでいる。

RPAとは、現状、人が行っている定型的な業務をソフトウェア型のロボットが代行してくれる技術で、帳簿入力や伝票作成といった「単純だが作業量が多い」業務を自動化したい場合に導入をすることが多い。

では、どれくらいの企業がRPAを導入しているのだろうか。年商50億円以上の企業、約1,000社を対象としたMM総研の調査では、2018年6月時点、国内企業のRPA導入率は22%だった。そこから約半年が経過した2019年1月時点には、32%となっており、RPAの導入が進んでいる。

RPAが機能すると、人件費の削減、生産性の向上、ヒューマンエラーの撲滅、不正防止、異動・退職に伴う引き継ぎ業務が不要になるなど様々なメリットを企業は享受できる。しかし、これからRPAを導入したいと考えている企業は、RPAには、向いている作業と向かない作業があることに注意して、導入を検討したほうがよい。向かない作業をRPAで自動化しても、場合によっては、ほとんどメリットが出ないこともありえるからだ。

向いている作業というのは、手順が決まっていて(定型)、人の判断を必要とせず(単純)、反復的に繰り返し(定期)、非常に多くのデータを扱う(大量)作業だ。たとえば、人の判断を要するような作業には向いていないということになる。

金融業界では定型、単純、定期、大量な事務作業が多く、他業種よりも先んじてRPAが導入されてきた。例えば、三井住友銀行は2017年4月からの1年間で、約700種類のPC作業を対象にRPAが導入され、110万時間分を削減できたという。同行含む3大メガバンクが、2017年頃に大規模な人員削減を発表したが、その削減策の中心にあるのがRPAだ。それだけ金融業界はRPA向きの業務が多く存在していたということになる。

そのような中、近年ではRPAの本格的な導入が難しいと考えられている業種でも普及が進んでいるようだ。例えば製造業では業務が多岐にわたるため、定型業務が少なくRPAの本格導入が難しいと言われてきた。しかし、世界最大手のガラスメーカーAGC株式会社は2018年2月から各拠点やグループ会社の経理、調達、研究開発などの間接部門を中心に計70台のロボットを導入し、伝票入力業務や検収管理業務を自動化してきた。

その結果、2019年9月末時点で導入前と比較して、年間4,200時間の業務時間削減に成功したようだ。

この結果を踏まえて、12月24日、AGCは2020年1月からRPAの本格展開を開始することを発表した。2020年末までに年間10,000時間以上の業務時間削減を目指す。この目標をクリアするために、AGCは2つのアプローチを掲げる。1つめは、日本国内の拠点に限らず、欧州・米州・アジアの各拠点にRPAを展開していくこと。2つめは、間接部門だけでなく、工場の生産管理部門の業務にもRPAを導入していくことだ。

AGCは開発プロセス・製造プロセスなど差別化領域においてもデータサイエンスを用いて高効率化を図ってきたが、非差別化領域と位置づけられる入力・集計といった定型業務においても高効率化を実現し、ユーザーへ新たな付加価値を提供していくことを目指している。

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