富士フイルム株式会社は、IoTやAI(人工知能)といった高度なICT(*1)化に対応した情報基盤技術の強化と応用拡大を図るために、平成28年4月1日付で、ビッグデータ解析などの情報科学(*2)の最先端技術やソフトウエアの基盤技術の研究開発を行う新組織「インフォマティクス研究所」を設立する。
近年、ICTの進展により、世の中で発生するデータは爆発的に増加しており、またデータの種類も多岐にわたっている。集まったビッグデータをビジネスに活用する動きが活発化する中で、ビッグデータ解析の重要性がますます高まっている。
現在、機械学習やディープラーニングに代表されるようにビッグデータを自動で解析するための研究が進み、AIの実用化が始まっている。既に研究開発の現場では、AIを用いて、既存データを解析することで新たな物質・材料を探索・開発したり、公開されている論文や自社の開発データを解析して新薬開発に役立てる取り組みが行われている。今後、AIの進化やIoTの普及拡大により、これらの動きはますます加速するとともに、研究開発のみではなくマーケティングや生産、業務、経営に至る活動でもデータ解析の活用が見込まれている。
富士フイルムは、これまで画像のビッグデータ解析に機械学習を用いた取り組みを行ってきた。
例えば、写真分野では、独自の画像解析技術「Image Organizer」を開発し、大量の画像から自動的に良い画像を選択し1冊のアルバムに編集できる「Year Album」というサービスを提供している。
また医療分野においても、CTやMRIなどによる断層画像から高精度な3D画像を構築する3D画像解析システム「ボリュームアナライザー SYNAPSE VINCENT」を開発した。
富士フイルムは、さらに、今後本格化する高度なICT化に対応した情報基盤技術の強化と応用拡大を図るため、複数の研究現場に分散しているデータサイエンティスト(*3)を集約して、新たに「インフォマティクス研究所」を設立する。
「インフォマティクス研究所」では、国内外の大学や研究機関、企業との連携を強化して、ビッグデータ解析などの情報科学の最先端技術やソフトウエアの基盤技術の研究開発を行っていく。また、将来、データサイエンティストとして活躍できる人材育成にも取り組んでいくという。
今後、「インフォマティクス研究所」で開発された情報基盤技術を、新規材料や製品、IoT社会に適したソリューションサービスの創出に活用していきます。さらに、この技術を、精緻な需要予測に基づいた効果的なマーケティングに用いるとともに、事業計画の立案・遂行といった企業活動全般にも応用していく。
*1 Information and Communication Technology の略。IT の概念をさらに一歩進め、情報技術に通信コミュニケーションの重要性を加味した言葉。
*2 情報学や情報処理、情報システム、情報科学の分野および関連分野を指す。データ解析、AI技術およびそれを活用するシステム基盤技術なども含まれる。
*3 膨大なデータを指すビッグデータから、ビジネスに生きる知見を引き出す専門家。
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・富士フイルム(FUJIFILM)
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