IoT推進ラボでは、先進的なIoTプロジェクトの発掘を目指した第1回先進的IoTプロジェクト選考会議「IoT Lab Selection」を本年2月に実施し、この結果選定された支援対象プロジェクトに対して、①資金支援、②メンター(相談者)派遣支援、③規制改革・ルール形成等に対する支援を実施している。
今般、この成果として2件について産業競争力強化法に基づく「グレーゾーン解消制度」を通じた規制適用の明確化を行うとともに、更に1件について省令の一部改正を検討中だという。
支援プロジェクト(規制改革)
株式会社Liquid
・同社は指紋のみで個人認証ができる独自のシステムを用いて、指紋のみで決済や本人確認が可能なシステムを構築することで、インバウンドの需要増大で行列のできる買い物やチェックイン手続がスムーズになり、快適な観光ができるおもてなしプラットフォームを提案している。
・しかし、旅館業法に基づく通知では、訪日外国人のホテル等での本人確認にはパスポート(旅券)の呈示等が必要になることから、プロジェクト実施に当たって課題と考えられていた。
・グレーゾーン解消制度を活用し、同社が開発した指紋認証システムに、利用者の指紋とパスポートのICチップの情報を事前に登録し、登録された情報をチェックイン時に確認することは、同通知で求める「旅券の呈示」と同じとみなされることの確認ができた。なお、同通知で求める「旅券の写しの保存」についても、パスポート情報の電磁的記録を宿泊者名簿と紐付けて保存することで問題ないことの確認ができた。
・本件に関するグレーゾーン解消制度適用の詳細についてはこちらを参照。
株式会社アフロ
・同社はスマートフォン等を活用し、通信機能を有するタクシーメーター及びアプリケーションを開発することで、走行距離情報を取得し運賃計算を行うだけでなく、現在、手作業の日報業務(乗車記録)の自動化や、各タクシーの運行状況(場所、乗客の有無等)の即時把握による運行業務効率化や乗客へのサービス向上、将来的に料金体系の流動的な変更要請が発生した場合にも迅速な対応を可能とするなど、高度な機能を従来の専用器と運行管理システム構築の組み合わせよりも大幅に低いコストで実現することを目指している。
・しかし、計量法では、タクシーメーターの性能要件の一つとして、タリフ定数(運賃演算表)を無線通信で扱う際の保護措置である「電子的封印」が必要になることから、具体的な「電子的封印」の要件を明らかにすることが、プロジェクト実施に当たって課題となっていた。
・今回、グレーゾーン解消制度を通じて、タリフ定数の変更履歴の容易な閲覧、届出製造事業者又は届出修理事業者以外の者によって解除された場合に封印解除が適確に把握できる表示がなされること、電子的封印が働かないときのタクシーメーター機能停止の条件が明らかになった。
・本件に関するグレーゾーン解消制度適用の詳細についてはこちらを参照。
ソニー株式会社
・同社は焦点あわせが不要(フォーカス・フリー)であり、IoT社会において有用な表示機器として考えられるレーザー方式の表示デバイスの商品化を目指している。
・しかし、同社が商品化を検討している表示デバイスは、消費生活用製品安全法に定める技術基準を満たさないことから、プロジェクト実施に当たって課題となっていた。
・今回、当該装置の安全性について検証を行い、その安全性を確認したことから、新規格を技術上の基準に追加する旨の消費生活用製品安全法に係る省令の一部改正を検討中(5月末改正予定)。
その他支援の進捗状況
規制改革に対する支援の他、政府系機関(IPA、NEDO等)や民間金融機関による資金支援、メンター(相談者)派遣支援など、事業者の希望に応じた支援について、実施・検討中。
IoT推進ラボとは
IoT、ビッグデータ、人工知能といった技術革新によって、世界的に産業や社会の在り方が大きく変革しつつある状況を踏まえ、我が国においても、新たなIoTビジネスモデルの創出やIoTプラットフォーマーの発掘・育成を図り、新たな成長の原動力としていくことが必要だ。
このため、IoT推進ラボでは、政府関係機関、金融機関やベンチャーキャピタル等と連携し、成長性・先導性、波及性(オープン性)、社会性等の観点から優れたIoTプロジェクトに対して、資金支援やメンターによる伴走支援、規制改革・標準化等に関する支援を行う。
第2回先進的IoTプロジェクト選考会議「IoT Lab Selection」
現在、第2回の「IoT Lab Selection」に向けた公募を開始している。公募の詳細については、こちらを参照。
【関連リンク】
・経済産業省
・Liquid
・ソニー(Sony)
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