【概要】
■国内IoT市場における、ソフトウェア/サービス向け支出の割合は2020年に6割に達する
■ソフトウェア/サービスの支出割合増加の背景には、IoTクラウドプラットフォーム、アナリティクスソフトウェア、および付随するサービスへのニーズの急速な拡大が寄与している
■ITベンダーは特定の産業分野に精通するパートナーとの連携を強め、企業に対してITとOT(オペレーションテクノロジー)の両面から、IoTの提案を行うことが必須になる
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内IoT市場におけるテクノロジー別の予測を発表した。
IDCでは国内IoT(※1)市場の市場規模について、2015年の支出額は約6.2兆円で、2020年の支出額は約13.8兆円になると予測している。国内IoT市場のうち、IDCでは「主要ユースケース(用途)」に対するユーザー支出額を「ハードウェア」「コネクティビティ」「ソフトウェア」「サービス」の4つの「技術グループ(※2)」に分類して市場予測を行っている。
国内IoT市場の主要ユースケースにおける4つの技術グループに対する支出額の内訳として、2015年時点において支出額の半分以上を占めるのは「ハードウェア」と「コネクティビティ」だ。これは10年~20年ほど前から、製造業の工場などで、さまざまな組込み系産業機械の稼働状況を監視するようなユースケースが既に数多く存在していたことに起因する。すなわちITの活用が各産業に未だ浸透していなかった時代においては、IoTの利用用途は「産業機械の状態をセンシングする」または「産業機械の異常を知らせる」といった単純な用途が中心であり、したがってハードウェアとコネクティビティといったIoTに最低限必要な技術グループへの支出額が相対的に大きくなっている。
一方で予測期間の後半では、「ソフトウェア」や「サービス」といった技術グループへの支出額割合が急速に増加し、2020年には約6割に達すると見込まれるという。これはIoTを活用する上での技術障壁やコスト障壁を大幅に軽減するIoTクラウドプラットフォームや、ネットワークにつながった機器の故障予測などを実現するアナリティクスソフトウェア、およびそれらに付随するさまざまな導入サービス/運用サービスといった技術要素に対する支出が急速に成長するためとIDCではみている。
IDC Japan コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣 悠太氏は「企業の事業部門におけるIoTへの関心が急速に高まる中、ITベンダーは各産業分野におけるユーザー企業のビジネスプロセスに対する理解を深めることが喫緊の課題となりつつある。その課題を解決する上で、ITベンダーは特定の産業分野に精通するパートナーとの連携を強め、企業に対して、ソフトウェアやITサービスといったIT分野のみでなく、OT(オペレーションテクノロジー)の分野も含めて、IoTソリューションの有効な営業/提案を行うべきである」と述べている。
※1 「IoT」の定義: IoTとは「IP接続による通信を、人の介在なしにローカルまたはグローバルに行うことができる識別可能なエッジデバイスからなるネットワークのネットワーク」であり、法人/政府/個人といった様々なユーザーが利用するユビキタスなネットワーク環境に対して、管理/監視/分析といった多様な付加価値を提供するものと定義。
※2 「技術グループ」の詳細: 国内IoT市場のうち、IDCでは「主要ユースケース(用途)」に対するユーザー支出額を、(1)ハードウェア(センサー/モジュール、サーバー、ストレージ、セキュリティハードウェア/その他ハードウェア)、(2)コネクティビティ、(3)ソフトウェア(アプリケーションソフトウェア/セキュリティソフトウェア、アナリティクスソフトウェア、IoTプラットフォーム)、(4)サービス(導入サービス、運用サービス)という4つの「技術グループ」に分類。
・レポート概要はこちら 国内IoT市場 テクノロジー別予測、2016年~2020年
<参考資料>
国内IoT市場 主要ユースケース向け支出額 技術グループ別割合推移、2015年~2020年
※グラフとして表示しているのは、IDCの定義する「主要ユースケース(用途)」に該当する支出額における技術グループ別の割合である。
【関連リンク】
・IDC Japan
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