IBMリサーチとメリーランド州立大学ボルチモア校(UMBC)は、Accelerated Cognitive Cybersecurity Laboratory(ACCL)の新設に向け、複数年にわたり協力する計画を発表した。
ACCLは、UMBCのEngineering and Information Technology学部内に設置される。
2016年秋の開設が予定されるこの研究所では、アナリティクスと機械学習によるコグニティブ・コンピューティングのサイバー・セキュリティーへの応用において科学的最先端研究分野の促進に取り組むとともに、そうした新たな集約型コンピューティング・ワークロードに最適化された特化されたコンピューター能力の研究を進めるという。
サイバー・セキュリティーの脅威は、その数と巧妙さの両面で深刻化している。この問題は、セキュリティーの専門家がますます不足することによって悪化しており、2020年には求人数に対する人材不足が150万人に達すると見られている(*1)。
IBMとUMBCは、ACCLを通じて、大量の構造化データと非構造化データを分析し、学習し、論理的に推論することができるコグニティブ・テクノロジーの新たな応用方法を模索し、サイバー・セキュリティーの専門家がサイバー犯罪との戦いを有利に進められるよう支援する。
ACCLは、UMBCのCenter for Cybersecurityのディレクター兼コンピューター・サイエンスおよび電気工学の学部長であるAnupam Joshi (アヌパム・ジョシ)氏が率いる。同氏の下には、教員、大学院生、学部生、ソフトウェア・エンジニアのチームが参加し、コグニティブ・コンピューティング、アクセラレーテッド・ハイパフォーマンス・コンピューティング、サイバー・セキュリティーにおける優れた専門知識が融合される。UMBCの研究者は、IBMの研究員と協力して、巧妙化する脅威を分析者とともにすばやく検知、分析、軽減できる革新的な技術の最先端研究開発を進める。
ACCLの研究は、IBMとOpenPOWERのテクノロジーに基づいて進められる。UMBCのACCLに導入されているIBM Power Systemsは、OpenPOWER Foundationのアクセラレーション・テクノロジーを取り入れることで、研究者が進めるサイバー・セキュリティーへの取り組みにとって重要な要素となる、コグニティブや先進アナリティクスのワークロードに最適化される。また、研究者には、IBM Systems Groupの技術開発とサポートが提供される。
今回の協力は、IBMアカデミック・イニシアティブの一環であり、熟練したテクノロジーの専門家を求める需要の高まりに応えるため、コグニティブ・コンピューティングにおける学生のスキルと理解を向上させることを目的としたものだという。
UMBCは、サイバー・セキュリティー分野への応用に向け、IBMのWatsonの訓練を実施する北米有数の大学8校のうちの1つだ。
Watsonは、自然言語処理を利用して、非構造化データに含まれる人間の言葉の曖昧さや不確実さを理解する。新たな脅威に対する洞察と、それらの脅威の防止方法に関する推奨事項を提供することができ、セキュリティー専門家の対応スピードと能力を高める。
(*1) 「2015 (ISC)2 Global Information Security Workforce Study(PDF、5.90MB、英語)」
【関連リンク】
・アイビーエム(IBM)
・メリーランド州立大学ボルチモア校(University of Maryland, Baltimore Count)
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