経済産業省では、今後日本の産業の成長にとって重要な役割を担うことが期待されるIT人材について、アンケート調査や有識者による研究会を実施し、中長期的な人材需給動向や、今後のIT人材の確保・育成に向けた方策について検討を行った。
背景
日本では、産業界で大型のIT関連投資が続くことや、昨今の情報セキュリティ等に対するニーズの増大を契機に、IT人材の不足が改めて課題となっている。また、ビッグデータ、IoT等の新しい技術やサービスの登場により、今後ますますIT利活用の高度化・多様化が進展することが予想され、中長期的にもITに対する需要は引き続き増加する可能性が高いと見込まれる。
しかし、日本の労働人口(特に若年人口)は減少が見込まれており、今後、IT人材の獲得は現在以上に難しくなると考えられるという。IT需要が拡大する一方で、国内の人材供給力が低下し、IT人材不足は今後より一層深刻化する可能性がある。
ITの日本産業の成長にとっての重要性を踏まえると、今後も十分なIT人材を確保することは、日本にとってきわめて重要な課題であるといえる。同調査は、こうした問題意識のもとで、IT人材の中長期的な需給動向を展望するとともに、今後のIT人材の確保・育成に向けた方策を検討することを目的として実施された。
<実施内容>
- 現状におけるマクロな規模でのIT 需要動向やIT人材の不足規模の推計
- IT人材の中でも、先端IT人材(AI、IoT、ビッグデータ等に携わる人材)や情報セキュリティ人材といった、特に今後ニーズが高まると思われる分野の人材数、その不足規模等の推計
- 今後のIT人材確保に向けた方策の検討(有識者を交えた研究会開催)
- 米国やアジア等の諸外国におけるIT人材の状況調査と日本との比較(キャリアや年収、労働移動の状況など)
調査結果の概要
IT人材の需給に関する推計
・マクロな規模でのIT人材(IT企業及びユーザ企業情報システム部門に所属する人材)は、現在の人材数は約90万人、不足数は約17万人と推計された。今後2019年をピークに人材供給は減少傾向となり、より一層不足数が拡大する。
※報告書本編では、IT市場の成長率と生産性向上見込みについて、シナリオ別に推計を実施している
・情報セキュリティ人材は、現在約28万人、不足数は約13万人であるが、2020年には不足数が20万人弱に拡大。
・先端IT人材は、現在約9.7万人、不足数は約1.5万人であるが、2020年には不足数が4.8万人に拡大。
今後のIT人材の活用・確保に向けた方策
人材不足が今後より一層深刻化すると考えられる中、IT人材の育成や確保に向けて取り組むべき内容を、以下の5つのポイントに集約して示した。
①より多様な人材(女性、シニア、外国人材)の活躍促進
②人材の流動性の向上(高付加価値領域への戦略的人材配置)
③個々のIT人材のスキルアップ支援の強化
④IT人材への処遇やキャリアなど、“産業の魅力”の向上
⑤先端IT人材、情報セキュリティ人材、IT起業家などの重点的な育成強化
諸外国のIT人材との比較調査
今後のIT人材の確保・育成に向けた方策検討の一環として、「IT人材に関する各国比較調査」を実施し、IT人材の属性や実態について他国との比較を試みた。
詳細は、下記を参照。
・IT人材の最新動向と将来推計に関する調査結果を取りまとめました(PDF形式:750KB)
・報告書概要版 (PDF形式:2,106KB)
・海外比較調査レポート (PDF形式:889KB)
【関連リンク】
・経済産業省
・
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