NECは、地磁気を活用することで、GPS信号が届きにくい、骨組みなどの主要な構造に鉄鋼製の部材を用いた建物の内部にいる対象者の位置を正確に測定する技術を開発した。
同技術は、人工知能(AI)の一種であるディープラーニングを活用して、事前に調査して得た屋内の位置や地磁気の情報をもとに、各フロアの地磁気特徴を抽出する。この特徴をもとに、屋内の対象者が所持するセンサで得た地磁気情報から、誤差2メートル以内(注1)の精度で位置を測位するものだという。
昨今、動態管理や送客という目的のために、工場や店舗などの屋内で人の位置を正確に測定するニーズが高まっている。屋内の人の位置を測位するには、ビーコンや無線LANなどを利用する方法があるが、設置コストが大きくなることが課題だ。同技術は、地磁気センサやモーションセンサを備えた端末を活用することで、屋内の対象者の位置を正確に測定可能。そのため、位置測位を活用したサービスを追加で設備投資の必要がなく、低コストで実現することが期待される。
地磁気屋内位置測位技術の特長は以下のとおり。
- 屋内の対象の正確な位置を測定可能
ディープラーニングを活用して、事前に屋内を調査して得た位置や地磁気の情報をもとに、各フロアの地磁気特徴を抽出。この特徴をもとに、屋内の対象者が所持するセンサで得た地磁気情報から、誤差2メートル以内の精度で対象者の位置の測位を実現する。 - 追加での設備投資が不要
事前に屋内の地磁気の状態を調査するだけで、ビーコンや無線LAN機器などの屋内への設置が不要なため、低コストで位置測位を活用したサービスを導入可能。
今後NECは、同技術や耳音響認証技術、モーションセンサなどを組み合わせたヒアラブルデバイス(イヤホン型端末)向けプラットフォームの2017年度中の事業化を目指していくとしている。事業化に向けて、サービス事業者、デバイスメーカーなどと共同で同技術や耳音響認証の実証実験を行っていく。
ヒアラブルデバイスにより、耳を通じたインターネット利用が可能となり、例えば、「歩きスマホ」のようにスマートホンの画面を注視することで、思わぬ怪我や事故につながるような社会課題の解決にも貢献する。NECはこのような、ヒアラブルデバイスを利用した新たなインターネットの利用スタイルを提案していくという。
(注1)2016年10月28日時点のNEC実測値
【関連リンク】
・日本電気(NEC)
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