イーソル株式会社は、シングルコアプロセッサからマルチ・メニーコアプロセッサまでをスケーラブルにサポートする商用リアルタイムOS「eMCOS」をコアとするソフトウェアプラットフォームが、ザイリンクスのヘテロジニアスマルチコアプロセッサ搭載Zynq UltraScale+MPSoCをサポートすることを発表した。
各コアにマイクロカーネルを配置するeMCOSの新アーキテクチャ「分散型マイクロカーネルアーキテクチャ」により、Zynq UltraScale+MPSoCに搭載されたARM Cortex-A53クアッドコアプロセッサとARM Cortex-R5デュアルコアプロセッサからなるヘテロジニアスな構成を、ひとつのリアルタイムOSでサポートするスケーラビリティを実現するという。
これにより、コア間のシームレスな高速通信や開発効率の向上を強力に支援。ADAS(Advanced Driver Assistance System:先進運転支援システム)やインダストリアルIoTなどの幅広いシステムで、高い信頼性、リアルタイム性および安全性の確保を容易にするという。
Zynq UltraScale+MPSoCは、最新のARMv8アーキテクチャを採用したARM Cortex-A53クアッドコアプロセッサと、ARMv7アーキテクチャのARM Cortex-R5デュアルコアプロセッサが搭載された、ヘテロジニアスマルチコア構成。ARM Cortex-A53クアッドコアプロセッサは、32ビットまたは64ビットのデータ幅に対応している。従来のZynq-7000 All Programmable SoCから、ARM Mali GPUやH.264/H.265ビデオコーデックが新たに統合され、高品位なグラフィックスやビデオ処理の性能が強化されている。
Zynq UltraScale+MPSoCをサポートするeMCOSの分散型マイクロカーネルアーキテクチャでは、各コアにマイクロカーネルが配置される。マイクロカーネル間の通信は、分散コンピューティングに最適なメッセージパッシング方式で行われるため、実行されているコアやプロセッサが異なっても、アプリケーション間での高速通信が可能。またコーデックや画像関連処理など、高度に並列化されたアプリケーションの実行には、低オーバーヘッドで並列スレッド実行と同期・通信が可能なスレッドプールライブラリとFast Messagingライブラリを提供している。
eMCOS独自のスケジューリングアルゴリズム「セミプライオリティベーススケジューリング」により、高いパフォーマンスとスケーラビリティに加えて、組込みシステムに不可欠なリアルタイム性の両立を実現できるという。従来のシングルコアプロセッサやマルチコアプロセッサと同じプログラミングモデルとインターフェースを利用でき、ソフトウェア資産の流用や開発効率の向上を可能にするという。
Zynq UltraScale+MPSoC 搭載ARM Coretex-A53コアプロセッサの32ビットモードおよびARM Cortex-R5コアプロセッサは、幅広い分野で多数の採用実績を持つTRONベースリアルタイムOS「eT-Kernel」も利用できるという。eT-KernelはZynq-7000 All Programmable SoCにも対応。μITRONに近い小規模な構成から、メモリ保護、プロセスモデル、POSIX仕様準拠を含む大規模な構成までをシームレスにサポートする、3つのプロファイルが用意されている。
今回Zynq UltraScale+ MPSoCの32ビットモードをサポートするのは、優れたリアルタイム性と省メモリが特長の「eT-Kernel Compact」。eT-Kernel Compactは、自動車向けISO 26262 ASIL Dおよび産業機器向けIEC 61508 SIL 4適合の第三者認証を受けているという。
eMCOSおよびeT-Kernelでのアプリケーション開発には、Zynq UltraScale+ MPSoCの64ビットモード/32ビットモードのいずれも、リアルタイムOSベース統合開発環境「eBinder」を利用できる。リアルタイムOSを使ったソフトウェア開発に特化したeBinderを利用することで、高品質なアプリケーションを効率的に開発できるという。
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