【概要】
■国内企業のIoT利用率は4.9%、産業分野別では製造/資源セクターの利用率が最も高い
■IoTの用途はコスト削減などの社内用途が9割を占めたが、サービス付加価値向上などの社外用途も3割に浸透していた
■事業者は、IoT分野での幅広いパートナーの開拓、顧客の収益性を高めるためのトライアンドエラーの推進、IoT向けの強固なセキュリティの実装および啓発活動が必須になる
IT専門調査会社 IDC Japan 株式会社は、国内IoT(Internet of Things)市場の企業ユーザー動向調査結果を発表した。
IDCでは2015年5月~6月に、全国の従業員規模100名以上の企業を対象とし、IoTの利用動向に関する定量調査(Webアンケート)および定性調査(個別の対面インタビュー)を実施した。Webアンケートに対して回答のあった6,906社の内、IDCの定義するIoTを利用している企業(以下、IoT利用企業)は340社で、利用率は4.9%となった。
IDCではIoT利用企業の産業分野を4つのセクターに分類している。
産業分野別に見た場合、IoTの利用率が最も高いのは製造/資源セクター(利用率:6.7%)で、組立製造/プロセス製造分野を中心にさまざまな組み込み機器が、古くからIoTとして活用されてきていることが関係している。
残り3つのセクターとその利用率はそれぞれ、流通/サービスセクター(利用率:5.0%)、公共/インフラセクター(利用率:3.2%)、金融セクター(利用率:1.3%)となった。
IoTの利用用途別に見た場合、自社で保有する産業機器の稼働状態の見える化や故障検知など「社内用途」がIoT利用企業の回答の9割を占めた。また顧客の保有する産業機器のリモート管理/制御や顧客分析/マーケティングなどといった「社外用途」はIoT利用企業の回答の3割程度だった。
将来展望として、組み込み機器を多用する産業分野向けのIoT導入は一巡しつつある中、組み込み機器との親和性がそれほど高くはないその他の産業分野に対する、事業者の関心が高まると見込まれる。
また分析技術の急速な発達に伴い、IoT利用企業が社内用途/社外用途の双方で、さまざまな付加価値を生み出すことが競争を勝ち抜く上では必須になる。
さらにIoT利用企業の課題の一つである「IoTを利用する上での情報セキュリティ上の懸念」は今後一段と強まることが予測される。
IDC Japan コミュニケーションズ マーケットアナリストの鳥巣 悠太は「IoT事業者は、新しい産業分野の顧客を開拓する上で、各産業分野に特化したソリューションプロバイダーやコンサルティング会社と提携していくことが重要になる」とし、「顧客がIoTでいかに収益を高めるかを最優先に考え、その上でいかに他の事業者よりも多くのトライアンドエラーを繰り返すかが鍵になる」とみている。
さらに「『セキュリティReady』な状態でのソリューションの提供や、顧客へのセキュリティリスクに関する啓発活動を積極的に展開することが重要になる」と述べている。
・レポート概要はこちら
2015年 国内IoT市場 ユーザー利用動向分析
<参考資料>
回答企業に占めるIoT利用企業の割合
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